キッチンのカウンター天板とステンレスのシンク。左には木目調のフローリングが写っています

先に結論を書きます。ハウスコーティングとは、住まいの床(フローリング)と水まわり(浴室・洗面台・キッチン・トイレ)の表面に、コーティング剤で保護の膜をつくる施工です。膜があると、汚れや傷が素材に直接届きにくくなり、ついた汚れも膜の上に乗るので落としやすくなります。掃除が要らなくなるわけではありませんが、同じ掃除で状態を保ちやすくなるのが施工する意味です。この記事では、施工できる場所、床と水まわりで変わること、必要かどうかの決め方、頼む時期の順に整理し、部位ごとの詳しい話はそれぞれの記事へご案内します。

ハウスコーティングとは、床と水まわりに保護の膜をつくる施工です

「ハウスコーティング」は、家の中のいろいろな場所へのコーティングをまとめた呼び方です。床だけを指すときは「フロアコーティング」、水まわりは「浴室コーティング」「キッチンコーティング」のように場所の名前で呼ばれることが多く、それらを家単位でまとめたものがハウスコーティングだと考えると分かりやすいです。

どの場所でも、施工の流れは同じ3段階です。

  1. 洗浄と下地処理。汚れや水垢、古いワックスなどを落として、膜が密着する面を整えます
  2. 塗布。場所と素材に合ったコーティング剤を、決めた厚みで塗ります
  3. 硬化。膜が固まるまで、その場所を使わずに置きます

仕上がりを左右するのは1つ目の下地処理です。汚れが残ったまま塗ると、膜がしっかり密着しません。ワックスのように定期的に塗り直す前提のものとは、ここが違います。違いの詳細はフロアコーティングとワックスの違いにまとめています。

施工できる場所は、床と水まわりの2つに分かれます

ハウスコーティングの対象は、大きく床と水まわりです。付きやすい汚れと傷み方が違うので、分けて見ると整理しやすくなります。

区分主な場所起きやすいこと
床リビング・居室・廊下・階段のフローリング、玄関のタイル家具や砂粒による擦り傷、食べこぼしや水のしみ
浴室浴槽・床・壁・水栓・鏡水垢、石けんカス、ピンク汚れ、湯垢
洗面洗面ボウル・天板・鏡歯磨き粉や整髪料の固着、水垢
キッチンシンク・天板・コンロ・レンジフード水垢、油汚れ、焦げつき、調味料のシミ
トイレ便器まわり・手洗い部水垢と尿の成分の汚れ

全部をまとめて頼む必要はありません。1か所だけでも、床だけ、水まわりだけでも施工できます。範囲の決め方は後の章で書きます。

床は、傷と汚れを床材の手前で受け止めます

施工後の洋室の床。窓からの光が床に映り込んでいます

床にコーティングの膜があると、椅子の脚や砂粒による細かい擦り傷がつきにくくなります。飲みこぼしや食べこぼしも床材に染み込む前に膜の上に乗るので、固く絞った布で拭くだけで落としやすくなります。ワックスの塗り直しも要らなくなります。

そのうえで、変わらないこともあります。すでに入っている傷は消えませんし、重いものを落とせば膜ごと床材がへこみます。膜の表面にも、使い続ければ傷は入ります。それでも、床材の塗装がむき出しのままより、日々の傷と汚れの入り方は変わります。

床に使うのはガラスコーティングで、膜の厚みによって厚膜・中膜・薄膜があります。3つともガラスコーティングです。滑りにくさを重視するなら厚膜、軽い滑り止めでよければ中膜という選び方ができます。床の仕組みや向いている床はフロアコーティングとはに、剤の種類はフロアコーティングの種類と特徴に、良い点と気をつける点はフロアコーティングのメリットとデメリット8項目にまとめています。

水まわりは、場所ごとに汚れの主役が違います

白い浴槽の全景。底には滑り止めの凹凸が並んでいます

水まわりにコーティングの被膜ができると、水垢や石けんカスが面に居座りにくくなり、ついても被膜の上に乗るので落としやすくなります。ただし、水がかかる場所である以上、拭かずに放っておけば水垢はできます。使ったあとに水気を拭き取り、浴室なら換気をする。この習慣と組み合わせることで、きれいな状態が長く続きます。

水まわりは、同じ家の中でも場所によって汚れの主役が変わります。場所ごとの詳しい話は、それぞれの記事に分けています。

白い洗面ボウルと水栓。奥にはガラス調の水はねパネルがあります

水まわりの剤は、保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードから選びます。保護性能を重視するならセラミックコーティングが中心で、バランスがガラスコーティングです。手軽な防汚にあたる超撥水コーティングは、膜をつくるコーティングではなく、汚れの付きにくさだけに振ったお手軽なタイプです。浴室と洗面台の鏡は、水を膜のように広げて流す超親水コーティングを含む3種から、予算に応じて選べます。水をはじくのか広げるのかの違いは水まわりコーティングの撥水と親水で詳しく書いています。

必要かどうかは、家単位ではなく場所ごとに決めます

ハウスコーティングは、どの家にも必要な施工ではありません。決め手になるのは、家全体ではなく場所ごとの事情です。次の3つを場所ごとに当てはめると、やる場所と見送る場所が分かれます。

  1. その家に何年住むか。住み替えや張り替え、リフォームが近いなら、見送りで問題ありません
  2. 毎日使う場所か。汚れが乗る回数が多い場所ほど、差を実感しやすくなります
  3. 掃除の手間をどれだけ減らしたいか。今の掃除で困っていないなら、優先度は下がります

たとえば、キッチンのシンクや洗面ボウルは毎日使うので先に決めやすく、あまり使わない部屋の床は後回しにできます。床について見送ってよい場合を整理したものはフロアコーティングはいらない?に、水まわりを場所ごとに切り分ける話は新築の水まわりコーティングは必要かにあります。

床や水まわりのきれいな状態を保ちやすくなるぶん、住まいの資産価値を保つことにもつながります。

頼む時期は、新築なら入居前がいちばん段取りが楽です

新築なら、引き渡しから入居までの間がいちばん条件のいい時期です。家具がなく、床にも水まわりにも生活の汚れが乗っていないので、落とす工程が少なくて済みます。施工した場所は膜が固まるまで使えませんが、まだ住んでいなければ生活と重なりません。床の場合、硬化の目安は24時間です。入居前にやることの全体の順番は新築の入居前にやること全リストに、ハウスメーカーのオプションで勧められたときの確認点は新築オプションでコーティングを勧められたらにまとめています。

住み始めてからでも施工はできます。その場合は、皮脂汚れや水垢を落とす工程が先に入り、部屋や場所を区切って進めます。工程がどう変わるかは入居前と入居後のフロアコーティングに書いています。

施工したあとの手入れ

コーティングをしても、掃除は必要です。水まわりは拭き掃除をしなければ水垢ができますし、床にもほこりや食べこぼしは落ちます。変わるのは、汚れがコーティングの上に着くので取りやすくなることです。

洗剤は中性洗剤を使い、水分の拭き取りはできればマイクロファイバークロスのような柔らかい布で行ってください。デッキブラシのような硬いものや研磨剤入りの洗剤でこすると、コーティングを剥がしやすくなるため推奨しません。強くこすらなくても汚れが落ちるぶん、コーティング自体も劣化しにくくなる、という順番です。

よくある質問

ハウスコーティングとフロアコーティングは何が違いますか?

フロアコーティングは床への施工で、ハウスコーティングは床と水まわりを含めた家全体への施工をまとめた呼び方です。床の部分だけを取り出したものがフロアコーティングだと考えてください。

床だけ、水まわりだけでも頼めますか?

頼めます。水まわりは浴槽・鏡・シンクのように部位ごとに分かれているので、1か所だけ選ぶことも、組み合わせることもできます。部位ごとの金額は単品ごとの価格表で先に確認できます。

何年もちますか?

持ちの年数は、素材、日当たりや湿度、水の当たり方、拭き上げの習慣で変わり、同じ家の中でも場所によって差が出ます。なお、セラミックコーティングと床に使うガラスコーティング厚膜には10年保証がありますが、保証の年数と持ちの年数は別のもので、日常生活での傷などは保証の対象外です。

小さな子供やペットがいても大丈夫ですか?

床に使うガラスコーティングは、硬化したあとは無機質(ガラス質)の膜になり、人体に無害な材料を使っているので、触れても安心して過ごせます。材料はホルムアルデヒドの放散量が最も少ない等級のF☆☆☆☆です。ただし、施工した部屋には完全に硬化するまで入らないでください。床の場合は施工後24時間が目安です。詳しくは子供・赤ちゃんがいる家のフロアコーティングとペットがいる家のフロアコーティングにあります。

まとめ

ハウスコーティングは、床と水まわりの表面に保護の膜をつくり、汚れや傷がつきにくく、ついても落としやすい状態にする施工です。床はガラスコーティングで擦り傷と汚れを受け止め、水まわりは3つのグレードから場所に合わせて剤を選びます。掃除はこれまでどおり必要ですが、強くこすらずに済むぶん、膜も長持ちしやすくなります。必要かどうかは家単位ではなく、住む年数、毎日使う場所か、掃除の手間の3つで場所ごとに決めます。新築なら、生活が始まる前の入居前がいちばん段取りの楽な時期です。