先に結論を書きます。トイレのコーティングが必要かどうかは、掃除をしているかどうかでは決まりません。決まるのは、掃除の手が毎日届く面か、届きにくい面かのほうです。トイレは家の中でも掃除の回数が多い場所なので、毎日拭いている面なら掃除だけで間に合います。それでも、便座と便器のすき間や便器の付け根のように、回数を増やしても手が回りにくい面が残ります。この記事は、その線引きを先に置いたうえで、やらなくていい条件とやったほうがいい条件、そしてどこまでを範囲にするかまで書きます。
トイレで何が起きるか
トイレは、面積が小さいわりに面の種類が多い場所です。便器そのものは陶器ですが、便座と温水洗浄便座の本体は樹脂で、手洗い部の水栓は金属です。同じ空間の中で、材質の違う面が隣り合って並んでいます。
残る汚れは大きく2つあります。1つは水垢で、水道水に含まれる成分が乾いたあとに残ったものです。手洗い部と、便器の水が当たる位置に集まります。もう1つは尿の成分で、乾くと固まり、便器のフチや便座の裏側、便器の付け根に残ります。どちらも、付いた直後より、乾いて時間がたってからのほうが落とす手間が重くなります。
もう1つ、面そのものの話があります。まだ何も塗っていない面は、見た目には平らでも細かい凹凸があります。水滴はその凹凸に留まりやすく、留まったまま乾くと、水に含まれていた成分がその場に残ります。同じ量の水がかかっても、水が切れて流れ落ちる面と、留まったまま乾く面では、あとに残るものの量が変わります。
掃除でどこまで代替できるか
トイレは、家の中でも掃除の回数が多い場所です。だから他の部位より先に、掃除で足りるのではないか、という疑問が出ます。ここは家単位ではなく、面ごとに分けると答えが出ます。
毎日ついでに拭ける面は、掃除で代替できます。便座の上面、便器の外側、手洗いのボウルは、使ったあとに手が届く位置にあり、汚れが積み上がる前に落とせます。この3か所を毎日拭いている家では、施工したあとの体感の差は小さくなります。
代替しにくいのは、次のような面です。
- 便器のフチの内側。上からのぞいても全体は見えず、拭くには手を入れる必要がある
- 便座と便器の間のすき間。幅が狭く、布が入りにくい
- 便器の付け根と、床との境目。かがまないと届かず、日々の掃除では飛ばされやすい
これらは、掃除の回数を増やしても追いつきにくい面です。回数の問題ではなく、手が届くかどうかの問題だからです。トイレでコーティングの出番があるのは、主にこちら側になります。
言い方を変えると、掃除の頻度が高い家ほど不要になる、という話ではありません。掃除の頻度が高い家でも残る面がある、という話です。
やらなくていい条件
次のような家では、急ぐ理由はありません。
- 使ったあとに便座と便器の外側を拭く習慣が、すでにある
- 掃除の担当と頻度が家の中で決まっていて、実際にそのとおり回っている
- 家族の人数が少なく、1日に使う回数がもともと少ない
- 数年以内に引っ越しや建て替えの予定があり、この設備を長く使う予定がない
コーティングは、汚れが付くこと自体を止める施工ではありません。付いた汚れを落としやすくする施工です。掃除の習慣ですでに汚れを溜めていない家では、施工で変わる幅もそのぶん小さくなります。
やったほうがいい条件
逆に、次のような家では優先度が上がります。
- 家族の人数が多く、1日に使われる回数が多い
- 掃除の担当が決まっておらず、気づいた人がやる形になっている
- 便器のフチや付け根に、すでに固まった汚れが出はじめている
- 来客が使うトイレで、いつ見られても困らない状態にしておきたい
使われる回数が多いほど、汚れが乗る回数も増えます。とくに掃除の分担が決まっていない家では、手が届きにくい面から先に差が開いていきます。トイレを含めた水まわり全体で、どの場所から順に決めるかは新築の水まわりコーティングは必要かに場所別で書いています。
どこまでやるか。範囲は便器まわりと手洗い部で分かれます
トイレの施工範囲は、次の3つの単位で分かれています。
- トイレ……便器の陶器と、便座・温水洗浄便座の樹脂部分
- トイレ 手洗い部……手洗いのボウルと、その水栓まわり
- トイレフルセット……上の2つをまとめたもの
ここで誤解されやすいのが、対象は陶器の便器だけだと思われている点です。便座と温水洗浄便座の樹脂部分も施工の対象に入ります。樹脂だから対象外、ということはありません。
範囲の判断でいちばん分かれるのは、手洗い部を足すかどうかです。手洗い部は面積が小さいものの、水が最後まで残る形をしているぶん、水垢が集まりやすい部位です。逆に、手洗いが付いていないタイプのトイレなら、この判断そのものが発生しません。
剤は、保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードから選びます。保護性能を優先する場合はセラミックコーティングが中心です。範囲ごとの内容は単品ごとの価格表で先に見られます。剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴に整理しています。
持ちの年数は、こちらから断定しません。使われる回数、拭き取りの頻度、使う洗剤と道具で変わるためです。同じトイレの中でも、便座の上面と便器のフチでは条件が違います。
施工したあと、掃除の仕方はどう変わるか
まず、掃除は必要です。拭き取りをしなければ、コーティングの上にも水垢は付きます。変わるのは、掃除が要るか要らないかではなく、掃除の仕方のほうです。
汚れはコーティングの上に乗るので、下地に直接付くよりも落としやすくなります。そのぶん、力を入れてこする必要が減ります。使う洗剤は中性洗剤を選び、拭き取りにはマイクロファイバークロスなど柔らかい布を使います。研磨力の強いスポンジや硬いブラシでこすると、コーティングを削ってしまうため推奨しません。
ここは因果でつながっています。強くこすらなくても汚れが落ちる、こする力が弱くて済む、コーティング自体が傷みにくい、という順です。逆に、施工したあとも今までどおり強くこすっていると、この順路の入口で止まってしまいます。掃除の道具を見直すところまで含めて、施工後の話だと考えてください。
よくある質問
便座や温水洗浄便座にも施工できますか?
できます。便器の陶器だけでなく、便座と温水洗浄便座の樹脂部分も施工の対象です。
手洗い部だけを頼むこともできますか?
できます。トイレは便器まわりと手洗い部が別の単位に分かれているので、どちらか一方だけを選ぶことも、まとめてフルセットで頼むこともできます。
毎日掃除をしていれば、コーティングは要りませんか?
面によります。便座の上面や便器の外側のように、毎日手が届く面は掃除で代替できます。ただし便器のフチの内側、便座とのすき間、床との境目は、回数を増やしても手が回りにくい面です。掃除の頻度で全部が置き換わるわけではありません。
コーティングをすれば掃除はいらなくなりますか?
いりません、とは言えません。拭き取りをしなければ、コーティングの上にも水垢は付きます。変わるのは掃除の仕方で、強くこすらずに落とせるようになるぶん、コーティング自体も傷みにくくなります。拭く回数がゼロになる施工ではありません。
キッチンと一緒に頼んだほうがいいですか?
まとめる必要はありません。場所ごとに、判断に使う材料が違うためです。キッチンの場合は、シンクや天板が新品か、すでに使っているかで最初の工程が変わります。その分かれ道はキッチンのコーティングは必要かに書いています。
まとめ
トイレのコーティングが必要かどうかは、掃除をしているかどうかでは決まりません。便座の上面や便器の外側のように毎日手が届く面は掃除で代替でき、便器のフチの内側、便座とのすき間、床との境目のように、回数を増やしても手が回りにくい面が残ります。範囲は便器まわり、手洗い部、その両方をまとめたフルセットの3つに分かれ、便器の陶器だけでなく、便座と温水洗浄便座の樹脂部分も対象です。剤は3つのグレードから選び、保護性能を優先する場合はセラミックコーティングが中心になります。そして施工したあとも掃除は必要で、変わるのは掃除の仕方のほうです。