施工後のフローリング

先に結論から書きます。フロアコーティングは、まず「膜をつくるタイプ」と「膜で守るのとは別のタイプ」の2つに分かれます。膜をつくるタイプは、ガラス、セラミック、UV硬化型、シリコン、ウレタンの5種類です。これとは別に、汚れの付きにくさだけを足す超撥水コーティングやフッ素コーティング、そして塗り直しを前提にするワックスがあります。この記事では5種類を表で比べたうえで、当店が扱っているものと扱っていないものを分けて書きます。

種類の話に入る前に、2つのグループに分けます

名前を横に並べる前に、性格の違う2つのグループがあることを押さえておくと迷いません。

  • 膜をつくるタイプ。表面で硬い膜になり、傷と汚れを受け止めます。硬化したあとは日常の掃除では落ちません
  • 膜で守るのとは別のタイプ。汚れの付きにくさを足すことに振ったもの。保護膜としての厚みや硬さを前提にしていません

超撥水コーティングとフッ素コーティング、そしてワックスは後者です。名前に「コーティング」と付いていても、目的が違います。ここを同じ表に並べて比べると、選び方を間違えます。膜ができるまでの仕組みそのものはフロアコーティングとはにまとめています。

膜をつくるコーティング5種類

先に一覧です。一般に言われている性格を並べています。持ちの年数は、床材・下地処理の有無・日当たり・その家での使い方で変わるため、表には入れていません。

種類膜について言われていること艶の出方当店の取扱い
ガラス無機のガラス質。硬度が高く、変色しにくい控えめ扱っています
セラミック硬度と、洗剤・薬品への強さ控えめ〜中扱っています
UV硬化型紫外線を当てて硬化させる。硬い膜強く出る扱っていません
シリコンやわらかめの膜。滑りにくさと撥水出やすい扱っていません
ウレタン樹脂系。艶の種類が選べる選べる扱っていません

当店が扱っていない3種類については、一般に流通している解説のうち、複数の情報源で説明が一致していたものだけを書いています。当店の施工実感を、扱っていない種類の説明に流用することはしません。

1. ガラスコーティング

ガラスの主成分である二酸化ケイ素(シリカ)を使った、無機系のコーティングです。塗ったあと、空気中の水分と反応して硬い膜になる、という説明が各社で共通しています。

特徴として挙げられるのは、硬さと、時間が経っても変色・劣化が起きにくいことです。艶は控えめで、木目の質感を残す方向に出ます。硬化したあとは剥離剤では落とせません。

当店では、フローリングとタイルの床の施工はこのガラスコーティングです。水まわりにも使います。

2. セラミックコーティング

施工後の洗面ボウルと天板

陶磁器と同じ系統の成分で膜をつくるコーティングです。硬さに加えて、洗剤やアルコールなどの薬品に強いことが特徴として挙げられます。

このため、洗剤を毎日使う場所との相性が語られることが多い種類です。当店では保護性能を優先するグレードに置いていて、施工の中心は浴室・洗面・キッチン・トイレ、それに大理石です。

3. UV硬化型コーティング(当店では扱っていません)

他の4種類と決定的に違うのが硬化のさせ方です。塗って自然に乾かすのではなく、紫外線を当てて硬化させます。そのため専用の照射機材が要ります。

乾燥を待つ時間が短く、施工した当日から床を使えるという説明が多く見られます。艶は強く出る、という点も各社で一致しています。

4. シリコンコーティング(当店では扱っていません)

膜がやわらかめで、滑りにくさと水のはじきが特徴として挙げられます。一方で、表面の摩耗には弱めだという説明も共通しています。価格は抑えめの部類として紹介されることが多い種類です。

5. ウレタンコーティング(当店では扱っていません)

樹脂系のコーティングです。艶の出方に種類があり、仕上がりの見た目を選びやすいとされています。費用を抑えやすい種類としても挙げられます。

保護の強さについては、他の種類より控えめに説明されることが多いです。また、水性のタイプには剥離できるものがあり、あとで元に戻したい場合の選択肢として紹介されています。

「硬さの順位」と「年数」は、業者によって説明が分かれます

ここは正直に書きます。UVとガラスのどちらが硬いかは、調べると説明が割れます。何と何を、どういう測り方で比べたのかが書かれていないことが多いためです。

持ちの年数も同じで、同じ種類なのに幅の大きな数字が並びます。当店が年数を断定しないのはこのためです。他社の数字を否定したいわけではありません。見積書のどこを見れば前提をそろえられるかはフロアコーティング見積もり比較に6項目でまとめています。

「ガラス系コーティング」と「ガラスコーティング」は同じ言葉ではありません

紛らわしいので分けて書きます。調べたなかで説明が一致していたのは、次の2点です。

  • 「ガラスコーティング」は、無機のガラス質の膜をつくるものを指す
  • 「ガラス系コーティング」は、そこに樹脂などの有機成分を混ぜたものを指して使われることがある

ただし、一致していなかった点もあります。この呼び分けは業界で統一されていません。両方を同じ意味で使っている説明も見つかります。

つまり、名前だけでは中身が決まりません。「ガラス系」と書かれていたら、無機だけなのか有機成分を含むのかを、そのまま聞いて確かめるのが早いです。なお当店の剤は「ガラスコーティング」です。「ガラス系」という呼び方はしていません。

膜で守るのとは別の選択肢

ここからは、5種類とは目的が違うものです。同じ土俵で比べないでください。

超撥水コーティング

水をはじいて汚れを付きにくくすることに振った施工です。しっかりした保護膜をつくるコーティングではなく、防汚だけのお手軽なタイプと考えてください。

向いているのは、日々の掃除の手間を軽くしたい場合や、まず費用を抑えて試してみたい場合です。傷から素材そのものを守りたいなら、見るのは膜をつくる5種類のほうです。当店では、浴室・洗面・キッチン・トイレの手軽な防汚グレードに、この超撥水コーティングを置いています。

フッ素コーティング(当店では扱っていません)

フッ素も、防汚に振ったタイプの1つです。フッ素の膜は表面張力が低く、水だけでなく油もはじくため、汚れが付きにくくなる。この仕組みの説明は各社で一致しています。水まわりの防汚用途で使われる点も共通しています。

当店の防汚は超撥水コーティングで、フッ素は扱っていません。

ワックス

ワックスは表面に乗せるもので、定期的な塗り直しが前提です。専用の剥離剤で落とせます。塗り直しを苦にしないなら、これで足りる場合もあります。

逆に言えば、塗り直しの手間そのものを無くしたいときに、膜をつくるコーティングを選ぶ理由が出てきます。

当店が扱うのは、この3つです

問い合わせのあとで食い違わないように、先に書いておきます。当店が使う剤は、セラミックコーティング・ガラスコーティング・超撥水コーティングの3つです。ただし選び方は、床、水まわり、大理石で違います。床はどれもガラスコーティングで、その中の厚膜・中膜・薄膜から選びます。水まわりは、保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードから選びます。大理石は、セラミックコーティングかガラスコーティングかで選びます。

フローリング・タイルの床

床の施工はすべてガラスコーティングです。ここで選ぶのは、厚膜・中膜・薄膜の3つです。超撥水コーティングは床には使いません。

選ぶもの中身
厚膜フロア専用のガラスコーティング。膜を厚くつくる仕様
中膜厚膜と同じフロア専用のガラスコーティング。溶剤は厚膜と同じで、中身の配合比率が違います
薄膜こちらもガラスコーティング。ただし厚膜・中膜とは溶剤から違う、別の剤です

3つとも同じガラスコーティングです。違うのはその中身で、厚膜と中膜は溶剤が同じで配合比率だけの違い、薄膜は溶剤から違う別の剤、という関係になります。薄膜だけ剤が違いますが、ガラスコーティングであることは3つとも変わりません。価格表では厚膜が「ガラスコーティングGFM厚膜」、中膜が「ガラスコーティングGFM中膜」、薄膜が「ガラスコーティングGXAG」という表記になっています。

水まわり

こちらは保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードで選びます。ただし「グレード=剤の種類」ではありません。同じグレードでも、施工する場所によって使う剤が変わります。

施工する場所保護性能重視バランス手軽な防汚
浴槽、浴室の床、洗面ボウルと天板、キッチンのシンクと天板、トイレセラミックコーティングガラスコーティング超撥水コーティング
浴室の壁・水栓・鏡、洗面台の鏡、キッチンのコンロ・レンジフードガラスコーティングガラスコーティング超撥水コーティング

この表で押さえてほしいのは、保護性能重視でもセラミックコーティング一色ではないことです。価格表ではこの列を「セラミックコーティングメイン」と呼んでいます。あくまで中心がセラミックというだけで、浴室の壁・水栓・鏡、洗面台の鏡、キッチンのコンロ・レンジフードにはガラスコーティングを使います。

どの場所を先に決めるか、という順番のほうは新築の水まわりコーティングは必要かに場所別で書いています。浴室に絞って、水垢と黒ずみにどこまで効くのかは浴室コーティングの効果にまとめています。

大理石

大理石で選ぶのは、セラミックコーティングかガラスコーティングかです。超撥水コーティングは大理石には使いません。

選ぶもの中身
セラミックコーティング硬さと、洗剤・薬品への強さを優先する場合はこちらです
ガラスコーティング剤の違いで2つの設定があります。どちらもガラスコーティングで、変わるのは使う剤のほうです

価格表では大理石の行にも選択肢が3つ並びますが、そのうち2つはガラスコーティングです。水まわりのように超撥水コーティングへ切り替える選択肢は、大理石にはありません。

UV硬化型・シリコン・ウレタン・フッ素は扱っていません。床の施工に使うのはガラスコーティングです。それぞれのグレードが何を優先しているかはコーティングの選び方に出しています。どの部位にどの剤を使うか、そして部位ごとの金額は単品ごとの価格表で先に見られます。この記事で金額を書かないのは、素材と状態と範囲で動くためです。

なお、セラミックコーティングと、フロア専用のガラスコーティング厚膜には10年保証があります。ただし保証年数と持続年数は別物です。日常生活での傷、お客様ご自身や他業者による補修のあと、リフォームによる損傷などは対象になりません。

種類を決めるときの順番

上から順に決めていくと、途中で戻らずに済みます。

  1. どこに施工するかを決める。床なのか水まわりなのかで、候補はほぼ絞れます
  2. 何を優先するかを決める。傷への強さか、掃除の手軽さか。水まわりはここでグレードが決まり、大理石はセラミックコーティングかガラスコーティングかが決まります。床はガラスコーティングの厚膜・中膜・薄膜のどれかが決まります
  3. 艶の出方を実物で見る。写真だけで決めると、仕上がってから印象が違うということが起こります
  4. 見積書に、剤の名前と膜の厚みまで書かれているかを見る

3つ目は、あとから効いてくる項目です。同じ床でも、昼の自然光と夜の照明では艶の見え方が変わります。実物のサンプルを自宅の床に置いて確かめてください。このあたりのつまずきはフロアコーティングの後悔4パターンにまとめています。

よくある質問

種類はどれを選べば失敗しませんか?

先に場所を決めるのが早いです。床なのか、浴室やキッチンなどの水まわりなのか。素材と、その場所に付く汚れの種類が違うため、場所が決まれば候補は絞れます。そのうえで、傷への強さを優先するか、掃除の手軽さを優先するかで選びます。

床にセラミックコーティングはできますか?

当店では、フローリングとタイルの床の施工はガラスコーティングです。セラミックコーティングは、浴室・洗面・キッチン・トイレ・大理石が中心になります。素材に合わせた組み合わせのご提案もしています。

UVコーティングとガラスコーティング、どちらが硬いですか?

一概には言えません。調べると業者によって説明が分かれ、測り方の前提も書かれていないことが多いためです。当店はUV硬化型を扱っていないので、なおさら自社の実感では語れません。硬さの数字が出てきたら、何をどう測った数字かを聞いてください。

場所ごとに違う種類を組み合わせられますか?

できます。コーティング剤の組み合わせは変更できます。浴室は保護性能を優先して、洗面は手軽な防汚にする、という選び方も可能です。素材と使い方に合わせて、こちらからも提案します。

種類ごとの持ちの年数で選んでも大丈夫ですか?

年数だけで選ぶのはおすすめしません。同じ種類でも、床材、下地処理の有無、日当たりと湿度、その家での使い方で結果が変わるためです。見るのは数字の大小より、その数字にどんな条件が添えられているかです。

まとめ

フロアコーティングは、膜をつくる5種類と、それとは別の防汚タイプに分かれます。膜をつくるのは、ガラス、セラミック、UV硬化型、シリコン、ウレタンです。防汚に振ったものが超撥水コーティングとフッ素コーティングで、保護膜をつくる施工とは目的が違います。ワックスは塗り直しが前提です。当店が扱うのはセラミック、ガラス、超撥水の3つで、フローリングとタイルの床にはガラスコーティングを使います。超撥水コーティングを床に使うことはなく、床で選ぶのはガラスコーティングの厚膜・中膜・薄膜です。選ぶときは、場所、優先すること、艶の見え方、見積書の中身の順です。硬さの順位や年数は業者によって説明が分かれるため、数字だけを横に並べても比べたことにはなりません。