施工後のフローリング。窓の明かりが床に映り込んでいます

「フロアコーティングで後悔した」という声の中身を見ると、施工そのものの失敗より、契約前の決め方に原因があるものが目立ちます。多いのは、仕上がりのイメージ、施工する範囲と金額、依頼するタイミング、業者と商品の選び方の4つです。

契約してから後悔しなくて済むように、4つそれぞれについて、契約前に確認しておきたいことを順に挙げていきます。

コーティングでは直せないこと

床材の反りや隙間、下地の構造的な不具合、すでに入っている深い傷は、コーティングでは直せません。気になる箇所があれば、現地で床を見るときに伝えてください。

「コーティングをすれば掃除がいらなくなる」と考えて施工すると、あとで思っていたのと違うと感じる方もいます。掃除は、施工後も今までどおり要ります。ただ、汚れが膜の上に乗るぶん、軽い力で落としやすくなります。

何が変わって何が変わらないのかはフロアコーティングとはに整理しています。

フロアコーティングの後悔は、この4つに分かれます

後悔の内容ごとに、原因と、契約前にできる対策を並べました。

後悔のかたち起きる原因契約前の対策
①仕上がりが想像と違った艶の程度と質感を、文字と写真だけで決めた実物のサンプルを、自宅の床材と照明の下で見る
②範囲と金額が合わなかった全室一括か見送りかの二択で考えた部位ごとの金額に分けて、優先順位を付ける
③入居後になってしまった引き渡しから入居までの日程を先に埋めた施工と乾燥の日数を逆算して枠を取る
④年数と商品名だけで決めた数字と呼び名が各社で揃っていない見積書に工程と条件が書かれているか見る

後悔①:仕上がりが想像と違った

見た目が思っていたのと違うと、あとから直すのに手間がかかります。艶の出方は施工内容で変わり、光沢を強く出すタイプもあれば、艶を抑えて木の質感を残すタイプもあります。

新品の床なのに、毎日目に入るたびに気になってしまう方もいます。

艶の見え方は、照明・床の色・部屋の広さで変わります。カタログの写真は、別の家の別の照明で撮ったものです。同じ施工でも、自宅で見ると、写真とは違う印象になることがあります。

滑りにくさも、見落とされやすい点です。艶を強く出すほど、表面はなめらかになります。小さなお子様やペットがいるお住まいでは、艶の強さと滑りにくさのどちらを優先するかを、先に決めておくと選びやすくなります。

施工後の床。同じ部屋の中でも、日が差している部分と影になっている部分では見え方が違います

実物のサンプル板を自宅の床に置いて、実際の照明の下で見せてもらってください。夜の照明でも一度見ておくと、昼との違いが分かります。光沢度の数字を比べるより、自分の目で見て決めたほうが、あとで納得しやすくなります。

後悔②:必要のない範囲まで契約していた

金額の後悔は、「高かった」というより、「使っていない部屋にまでかけてしまった」という形で出ることがあります。フロアコーティングは施工面積で金額が変わるので、全室を一度にやると、そのぶん金額も大きくなります。

ここでつまずきやすいのは、「全部やるか、やめるか」の二択で考えてしまうことです。実際には、傷のつき方も汚れ方も、部屋ごとに違います。

人と椅子がよく動くリビングやダイニング、水がはねるキッチンまわりは、傷や汚れがつきやすい場所です。寝室やほとんど使わない予備室は、それに比べると傷みにくい部屋です。

予算に上限があるなら、傷や汚れがつきやすい場所から順に施工する方法もあります。当店では部位ごとに金額を出しているので、「リビングと廊下だけ先に」という頼み方もできます。

施工後の廊下。左手は階段の手すり、正面と右手は部屋の入口です

見積りは、総額だけでなく、部屋ごと・部位ごとの金額も出してもらってください。分かれていれば、予算に合わせて外す部屋を自分で選べます。

見積書のどこを見れば条件をそろえて比べられるかは、フロアコーティングの見積もり比較に6項目で整理しています。

後悔③:入居後になってしまった

「入居前にやっておけばよかった」という声は、後悔の中でもよく出てきます。入居後は工程が増えるので、そのぶん手間と費用がかかります。

生活が始まると、床には皮脂汚れが付きます。そのため、コーティングの前に床を洗う作業が入り、その費用もかかります。

傷が入っていれば、補修は別の工事になります。家具があれば動かしながらの作業になり、施工と乾燥の間は、その部屋を使えません。入居前なら、工程はコーティングだけで済みます。

引き渡しから入居までの日程を、ほかの予定で先に埋めてしまうと、施工が入居後になりがちです。この期間は、思っていたより短いことがよくあります。施工と乾燥の日数を先に押さえておくと、入居前に済ませやすくなります。

工程と費用がどう変わるかは、入居前と入居後のフロアコーティングの違いに書いています。

すでに入居している場合でも、施工はできます。洗浄などの工程と費用が増えるので、先に見積りで確認しておくと安心です。

後悔④:年数と商品名だけで決めてしまった

業者選びで後悔するときは、比べ方に原因があることがよくあります。よくあるのが、「何年もつか」の数字と、コーティング剤の呼び名だけで並べて比べてしまうことです。

まず年数です。床の状態がどれくらい保たれるかは、床材の種類、下地処理の有無、日当たりと湿度、その家での使い方で変わります。

そのため、年数の説明では、どんな条件で出した数字なのか、どんな場合が対象外になるのかまで書かれているかを確かめてください。条件の書かれていない数字は、そのままでは他社と比べにくくなります。

次に商品名です。「ガラス」「UV」「シリコン」といった呼び名は溶剤の系統を指しますが、同じ呼び名でも、中身は商品によって違います。膜の厚みが違えば、価格も仕上がりも変わります。

無垢材のように溶剤を吸い込む床材は、下地処理をしてからコーティングしないと、本来の性能が出にくくなります。呼び名だけで決めずに、自宅の床材に何を使い、どう施工するのかまで聞いてみてください。

比べるときは、見積書と説明の中身を見てください。どの床材に何を使うのか、下地処理は入っているのか、洗浄や養生は含まれているのか。この3つが書かれている見積りなら、他社のものと並べて比べられます。

膜の厚みによって価格がどう変わるかは、コーティング剤のグレードごとの違いで目安を見られます。

「やらなくて後悔」もあります

後悔は、施工したあとだけでなく、施工しなかったときにも起こります。よくあるのは、入居してすぐ、家具の搬入や椅子の出し入れ、ペットの爪で床に傷が入ることです。

入ってしまった傷は、あとからコーティングをしても消えず、補修という別の工事になります。入居前にコーティングをしておくと、暮らし始めの床に傷がつきにくくなります。

床の傷や汚れがあまり気にならない方や、数年以内に住み替える予定がある方は、施工の優先度が下がります。反対に、新しい床を長く使うつもりの方や、小さなお子様やペットがいて傷が気になる方は、施工したあとの違いを感じやすくなります。

契約前に確認する7項目

契約の前に、次の7つを確かめておいてください。相見積りを取るときは、同じ項目を全社に聞くと、違いが見えやすくなります。

  • 艶の程度を、実物のサンプルで見せてもらったか(自宅の床の上・夜の照明でも)
  • 滑りにくさと艶の強さ、どちらを優先するかを決めたか
  • 見積りが部屋ごと・部位ごとに分かれているか(総額だけになっていないか)
  • 下地処理・洗浄・養生が金額に含まれているか、別途なのか
  • 自宅の床材に対応しているか(無垢材・突板・シートで工程が変わります)
  • 年数の説明に、前提条件と対象外の規定が付いているか
  • 施工から入居まで、乾燥の日数を含めて日程を取れるか

この7つのうち、迷いやすいのは床材の見きわめです。図面や仕様書に書かれていることが多いので、現地調査のときに一緒に確認するとよいでしょう。

金額を先に知りたいときは、施工内容と価格の目安をご覧ください。各項目を見積書のどこで確かめるかは、見積書で見る6項目に書いています。

よくある質問

フロアコーティングは、やらないほうがいいですか?

そうとは限りません。床を長く使う予定があり、傷や汚れの手入れを減らしたい場合は、施工のメリットを感じやすくなります。一方、数年以内に住み替える予定がある場合や、床の状態をあまり気にしない場合は、優先度が下がります。

一番多い後悔は何ですか?

よく聞くのは、仕上がりのイメージ違いと、タイミングの2つです。艶の見え方は照明と床の色で変わるので、写真だけで決めると、実際に見たときの印象が違うことがあります。タイミングの後悔は、入居後に頼んだために、洗浄の工程と費用が増えたというものです。

施工したあとで、艶を抑えることはできますか?

施工後に艶を抑えるには、すでに付いている被膜を取り除く作業が必要になり、費用も日数も追加でかかります。艶の程度は、施工前にサンプルで確かめて決めておくと安心です。

保証年数が長い業者を選べば後悔しませんか?

保証年数の長さだけでは決められません。どの業者の保証にも、適用条件と対象外の規定があります。年数の数字と一緒に、条件と対象外の範囲まで書かれているかを見ておくと、他社と比べやすくなります。

予算が足りないときは、どこから施工すればいいですか?

人と物がよく動く場所から始めると、施工したあとの違いを感じやすくなります。リビング・ダイニング・廊下は傷が入りやすく、キッチンまわりは水と油がはねます。あまり使わない部屋は、後回しにできます。

まとめ

フロアコーティングで後悔するきっかけは、施工の当たり外れより、契約前の決め方にあることが多いものです。艶を写真で決めた、全部やるかやめるかで考えた、日程を先に埋めた、年数と商品名だけで比べた。この4つが、後悔につながりやすい決め方です。

それぞれの対策は、サンプルを自宅で見る、見積りを部位ごとに分けてもらう、乾燥まで含めた日数を先に確保する、年数に条件が書かれているかを見る、の4つです。

4つの対策を押さえて選べば、仕上がりにも金額にも納得しやすくなります。施工したあとは、床に傷がつきにくくなり、汚れも軽い力で落としやすくなります。

契約してから後悔しなくて済むように、見積りを取るときは、上の7項目を手元に置いて確かめてみてください。迷う項目があれば、現地で床を見るときにご相談ください。