コーティング施工後のフローリング

入居前にコーティングした床と、入居後にコーティングした床。同じ床材、同じコーティング剤でも、かかる費用と工程は同じになりません。下地の状態が違うからです。この記事では、入居前と入居後で費用の構成・工程・段取りがどう変わるのかを、実際にあったご依頼のケースを交えて整理します。

「コーティング」と「ワックス」は別物です

この記事で「コーティング」と呼ぶのは、床や設備の表面に保護膜を作る施工のことです。定期的に塗り直すワックスとは別物だと考えてください。ワックスは表面に乗せる仕上げ剤です。製品や使用状況によりますが、一般に数ヶ月〜1年程度で塗り直しが必要とされています。一方でコーティングは、下地を整えたうえで密着させる施工です。そもそも「持続」の考え方がワックスとは違います。膜ができる仕組みと、施工で変わることと変わらないことはフロアコーティングとはにまとめています。

先に、コーティングで対応できないことから話します

コーティング業者がコーティングの記事を書くと、良いことしか書いていないように見えると思います。ですので、まず対応できないことから話します。床材そのものの反りや隙間、下地の構造的な問題はコーティングでは解決できません。すでに付いてしまった深い傷を、コーティングで消すこともできません(この記事の後半に、実際にそうなったケースが出てきます)。また、湿度管理が極端に悪い環境では、防カビコーティングをしてもカビを完全には防げません。発生を遅らせる・広がりを抑える、という位置づけです。「コーティングをすれば何もしなくていい」というものではなく、日常のお手入れと組み合わせて効果を維持するものだと捉えてください。

なぜ「入居前」なのか。理由は費用・日数・仕上がりの3つ

入居前の床は、傷も皮脂汚れも付いていない新品の状態です。この状態なら、工程はコーティングのみで済みます。生活を始めた後の床はそうはいきません。表面に汚れが付いているため、コーティングの前に洗浄の工程が必要になります。その分の費用が別途かかります。傷が付いてしまっている場合、傷の補修はコーティングとは別の工事です。補修業者への依頼費用がさらに発生します。また、家具がある状態では、移動しながらの作業になります。作業中とその後の乾燥期間、その部屋は使えません。生活への影響という点でも、家具搬入前に済ませるほうが負担は小さくなります。

実例:入居1ヶ月後にご依頼いただいたケース

実際に、入居後すぐにフロアの傷で後悔された方からのご依頼がありました。約80㎡のお住まいで、入居から2〜3週間でフローリングに傷が入ってしまったケースです。「入居前にやっておけばよかった」とのことでした。このケースでは、傷の補修を先に別の業者さんに依頼され、その後で当店がコーティングを施工しました。生活が始まっていたため、コーティングの前に洗浄の工程が必要になり、その分の費用も別途かかっています。施工は朝から夕方までの1日。その後、乾燥のため丸1日はお部屋に入らないようにしていただきました。この方はその間、ご実家に帰省されています。入居前の施工であれば、工程はコーティングのみです。大事をとって施工後2日ほど空けて入居日を設定すれば、乾燥期間も生活に影響しません。

施工前のフローリング
施工後のフローリング。上の写真と同じ場所です

同じものさしで比べる:入居前と入居後

「工程」「費用の構成」「生活への影響」の3つのものさしで比べると、次のようになります。

入居前入居後(実例:入居1ヶ月後)
下地の状態新品・傷や汚れなし生活による汚れ・傷が付いている
工程コーティングのみ洗浄→コーティング(傷の補修は別業者で別工事)
費用の構成コーティング費のみコーティング費+洗浄費(+補修が必要なら別途)
家具なし。全面を一度に施工できる移動しながらの作業になる
生活への影響入居日を施工後2日ほど空ければ影響なし施工1日+乾燥1日はお部屋を使えない

コーティング自体の部位ごとの価格は単品ごとの価格表に出しています。洗浄費は施工面積によって変わるため、この記事では金額を出しません。「うちの場合はどっちのケースに近いのか」「いくらかかるのか」が気になる方は、現地調査の際に床の状態を見たうえでご説明します。

入居前のうちに確認しておくこと

①フローリング

  • ワックスがすでにかかっているか(かかっている場合は剥離作業が必要になることがあります)
  • 施工から入居まで、乾燥期間を含めて2日ほど空けられるか
  • ペットや小さなお子様がいる場合、滑りにくさを重視するか、見た目の透明感を重視するか
  • 保証の有無と適用条件。当店のGFガラスコーティング厚膜(滑り止め・防汚の効能を含むタイプ)には10年保証があります。ただし、どの業者の保証にも適用条件と対象外の規定があります。年数の数字だけでなく、条件まで確認するのが失敗しないコツです

「保証年数」と「持続年数」は別物です。持続の度合いは環境やお手入れ頻度で変わるため、当店では年数を断定していません。

②水回り

当店はもともと水回りのコーティングを専門としてきた店です。その立場から言うと、入居前に状態を見ておく価値が特に高いのは、実は水回りです。傷と違って、水垢やカビは「付き始め」が目に見えにくいからです。

  • 浴槽・洗面台の素材(FRP・人工大理石・タイルなど)とコーティングの適合
  • コーキング部分の劣化や隙間の有無(コーティング前に補修が必要になる場合があります)
  • 換気の状態(換気が弱い部屋は防カビ対策の優先度が上がります)

水回りのコーティングは、汚れが固着する前の状態を保ちやすくする施工です。拭き掃除が不要になるわけではありません。汚れが落としやすい状態を維持する、という理解が現実的です。

③防カビ

  • 過去にカビが発生したことがある部屋かどうか
  • 建物の気密性・断熱性(気密性が高い住宅は結露しやすく、カビのリスクも上がります)
  • すでにカビが発生している場合は、除カビ処理を先に行う必要があること

防カビコーティングの持続期間は、環境や素材によって変わります。絶対的な年数を求めすぎないことも、業者選びの目を養ううえで大事な視点です。

向いている人・向いていない人

入居前のコーティングは、次のような方に向いています。

  • 入居日まで、施工+乾燥の2日ほどを確保できる方
  • 日常のお手入れの手間を減らしたい方
  • ペットや小さなお子様がいて、床の傷や滑りが気になる方

一方で、次のような場合は施工の前に整理が必要です。

  • 床材や設備に構造的な不具合がある場合(先に補修が必要です)
  • 極端に湿気の多い環境で、換気設備の見直しが優先される場合
  • 予算を絞りたい場合。この場合も全部やめる必要はありません。傷が入りやすいリビングの床だけ、カビやすい浴室だけ、というように優先度の高い1箇所だけ先に施工する選び方があります

よくある質問

入居前と入居後、費用はどちらが安いですか?

入居前のほうが費用構成はシンプルです。入居前はコーティング費のみですが、入居後は洗浄費が別途かかります。傷が付いている場合は補修(別工事)の費用も発生します。

ワックスとコーティングは何が違いますか?

ワックスは表面に乗せる仕上げ剤で、定期的な塗り直しが前提です。コーティングは下地を整えたうえで密着させる保護膜で、塗り直しを前提としない施工です。

コーティングすれば掃除はいらなくなりますか?

いいえ。汚れが落としやすい状態を維持する施工であり、掃除そのものは必要です。乾拭き・水拭きなどの日常のお手入れと組み合わせることで効果を保ちやすくなります。

すでにカビが生えている場所にもコーティングできますか?

そのままではできません。先に除カビ処理を行い、カビを除去したうえで防カビコーティングを施工する流れになります。

施工してから入居まで何日空ければいいですか?

施工1日+乾燥に丸1日が目安です。大事をとって施工後2日ほど空けて入居日を設定すると、乾燥期間が生活に影響しません。

まとめ

入居前と入居後の違いは、「工程が増えるかどうか」に尽きます。入居前ならコーティングのみ。入居後は洗浄が加わり、傷があれば補修という別工事も必要になります。実際に「入居前にやっておけばよかった」というご依頼は起きています。入居日が決まっているなら、施工+乾燥の2日を逆算してスケジュールに入れておく。それだけで、費用も手間も一番小さいタイミングを逃さずに済みます。