床コーティング(フロアコーティング)の見積もりは、㎡単価だけを並べても比べられません。㎡単価は、何を1㎡と数えるか、どの床材に塗るか、どのコーティング剤をどの厚みで塗るかの3つで変わります。

比べるときは、まずこの3つを各社でそろえてください。そのために見積書で確かめる項目が6つ、依頼のときに伝えておくことが5つあります。

㎡単価が比べられない理由

床コーティングの見積書は、同じ「1㎡あたり」と書いてあっても、次の3つで中身が変わります。

そろえるもの何が変わるか
面積の数え方家具の下・クローゼットの中・玄関まわりを含むかどうかで、総面積が変わります
床材シートや突板などの加工木材と、無垢材とでは必要な工程が違います
コーティング剤と膜厚種類が同じでも、薄い膜と厚い膜では使う量と工程が変わります

この3つがそろわないまま単価だけを比べると、単価の安いほうを選んだのに、総額は高かった、ということもあります。3つを見積書に書いてもらえれば、各社の見積もりを比べやすくなります。

帖(畳)単価と㎡単価

見積書によっては、単価が帖(畳)あたりで書かれていることもあります。1帖と1㎡は広さが違うので、帖の単価と㎡の単価をそのまま並べると、どちらが高いのか見分けにくくなります。畳の大きさは地域や建物によっても違うため、畳数で面積が出ているときは、何を1帖と数えたかも確かめてください。

比べるときは、帖単価の見積書にも㎡の面積を書いてもらうか、図面の㎡から単価を出し直して、㎡単価にそろえてください。単位をそろえても差が残るときは、上の表の3つのどれかが各社で違っていると考えられます。

次の6項目は、どれも見積書に書いてあるかどうかを、その場で確かめられるものです。フロアコーティングがどんな施工なのかをまだ詳しく知らない方は、先にフロアコーティングとはで仕組みと効果の範囲を見ておくと、読みやすくなります。

見積書で見る6項目

1. 施工範囲|「一式」の中身まで分かれているか

まず、どの部屋のどこまでが入っているかを見てください。「LDK一式」「1階フロア」といった書き方では、廊下・階段・洗面所・玄関の上がり口が入っているかどうかが分かりにくくなります。「一式」の中身を部屋・部位まで分けて書いてもらうと、どこまで入っているかがはっきりします。各社で総額が違うときは、入っている範囲が違うことがよくあります。

見積書に総額しか書かれていない場合は、部屋ごと・部位ごとの金額も出してもらってください。部屋ごとに分かれていれば、予算に合わせて、どこを外すかを自分で選べます。総額だけだと、予算に合わせるときに「全体からいくら引けるか」の相談になりがちです。

2. 面積の出し方|何を1㎡と数えているか

次に、その面積をどうやって出したかを見てください。図面の畳数から計算したのか、実際に測ったのか、家具や造作の下を差し引いているのか、部屋全体を数えているのか。数え方が違えば、単価が同じでも総額は変わります。

入居後に施工する場合、動かせない家具の下は施工できないので、その分を面積から引いているかも確かめてください。入居前と入居後で工程と条件がどう変わるかは、入居前と入居後のフロアコーティングの違いに書いています。

3. 床材と品番|同じ「床」でも中身が違う

見積書に、床材の種類と品番が書いてあるかを見てください。床材が違えば、金額も変わります。

たとえば無垢材は溶剤を吸い込むので、コーティングの前に下地処理が要ります。加工木材は、そこまでの下地処理は要りませんが、表面の仕上げによって剤との相性が変わります。

施工後の床。木目は見えますが、写真だけでは床材の種類までは分かりません

当店は現地で、お客様の許可をいただいてから床に水を1滴垂らし、吸い込み方を見ます。水を吸う床と吸わない床では、要る工程も、使う剤の量も変わります。床材を確かめないまま単価が出てきたときは、どちらの床として計算したのかを聞いてみてください。

4. 下地処理・既存ワックス・劣化の扱い|込みか、別か

下地処理が金額に含まれているのか、別の項目なのか、そもそも書かれていないのかを見てください。見積書に下地処理が書かれていないと、あとから条件や金額が変わることがあります。

特に見てほしいのが、既存ワックスの扱いです。ワックスの上にそのままコーティングをすると、コーティングは床材ではなく、ワックスの層に密着します。そのためワックスを剥がす作業が要り、その手間は施工する面積が広いほど増えます。中古住宅や居住中の施工では、傷・汚れ・色の抜けをどう扱うかが書かれているかも見ておきましょう。

5. コーティング剤の名前と膜厚|名前だけでは厚みが分からない

同じ名前のコーティング剤でも、膜が薄いか厚いかで、使う量も工程も価格も変わります。見積書に種類の名前しか書かれていなければ、膜の厚みまで書いてもらってください。

当店の場合、居室のフロアに使うのはガラスコーティングです。厚膜・中膜・薄膜の3つがあり、どれもガラスコーティングで、膜の厚みが違います。剤ごとの違いはフロアコーティングの種類と特徴にまとめています。

厚みが違うと、住んでからの見え方も違ってきます。膜が厚いほうが、毎日の擦り傷や汚れは目立ちにくくなります。どの厚みにするかは、擦り傷や汚れをどこまで目立ちにくくしたいかで考えると、決めやすくなります。

どの厚みを選んでも、傷や汚れが付くことはあります。ただ、付いた汚れは被膜の上に乗るので落としやすく、水拭きと乾拭きを続けるほど、きれいな見た目を保ちやすくなります。

また、床材や使い方から見て、なぜその剤を選んだのかを説明してもらえるかも見てください。当店が扱う剤の種類と、それぞれ何を重視した剤なのかは、コーティングの選び方に載せています。

6. 施工条件|養生・家具移動・使用再開までの時間

最後に、施工そのもの以外の条件を見ます。養生の費用が含まれているか、家具の移動を誰がするのか、施工した部屋をいつからまた使えるのか。この3つは、金額よりも、引っ越しや毎日の暮らしの予定に関わります。

施工後の床。幅木の際に養生テープが残っている状態です

部屋をまた使えるまでの時間は、施工する場所と使うコーティング剤で違います。表面が乾いても、膜が硬くなりきるまでには、さらに時間がかかります。硬くなりきる前に家具を戻すと、跡が残ることがあります。見積書に使えるまでの時間が書かれていなければ、引っ越しの日程に間に合うかどうかを聞いておいてください。

見積書には載らない、暮らしの段取りもあります。施工した部屋には、膜が硬くなりきるまで、入ったり家具を戻したりするのを控えてください。依頼のときに使えなくなる範囲と日数を聞いておくと、そのあいだの食事と寝る場所、家具を移す先、ペットや小さな子どもを施工した部屋に入れない方法を、前もって考えておけます。

総額が近くても、中身が違うことがあります

6項目を確かめていくと、総額が近い見積書どうしでも、中身の違いが見えてきます。面積の数え方、剤の厚み、下地処理の扱いのどこが違うのかを見て、差の理由が1つに絞れたら、そこだけを各社に聞き直してください。

比べるときは、項目を縦に、各社を横に並べた表に書き直すと、差を見つけやすくなります。書き写す項目と、そこが空欄のときに起きることは次のとおりです。

そろえる項目そこが空欄だと何が起きるか
施工する部屋と部位廊下や階段が入るかどうかだけで総額が変わり、単価を比べにくくなります
面積と、その面積の出し方同じ家なのに各社で㎡数が違い、どれが正しいか分かりにくくなります
床材の種類と品番無垢材に要る工程が入っているかどうかが分かりにくくなります
下地処理・既存ワックスの扱い施工を始めてからワックスの剥離が要ると分かり、金額が変わることがあります
コーティング剤の種類と膜厚薄い膜と厚い膜を、同じものとして比べてしまうことがあります
養生・家具移動・使用再開までの時間引っ越しの日程に間に合うかどうかが分かりにくくなります

当店に頼んだ場合の金額は、部位別の料金のページで先に見られます。項目ごとに分かれた金額を一度見ておくと、ほかの見積書を見るときの目安になります。

比べられる見積書をもらうために、依頼時に伝える5つ

見積書が届いてから条件をそろえ直すより、頼むときに条件を伝えておくほうが早く済みます。次の5つを、依頼するすべての会社に同じ内容で伝えてください。

伝えることなぜ必要か
間取り図(写真かデータ)面積の出し方がそろいます。畳数を口で伝えるだけだと、各社が別々に計算します
施工したい範囲を部屋名で列挙「一式」を避けられます。廊下・階段・洗面所・玄関の上がり口は、特に書き出しておいてください
床材の情報新築なら仕様書にメーカー名と品番があります。中古なら、床の写真を寄りと引きで撮ってください
入居前か入居後か、希望の時期家具を動かすかどうかと、引き渡しや引っ越しに日程が間に合うかが分かります
ワックスを塗ったことがあるかワックスの剥離が要るかどうかに関わります。分からなければ「分からない」と伝えてください

この5つを同じ内容で伝えておくと、返ってきた見積書を同じ条件で比べられます。伝えずに出てきた金額は、各社がそれぞれ別の条件で計算したものなので、差があっても、会社の違いなのか条件の違いなのか、あとから見分けにくくなります。

㎡単価の見積書と、部位ごとの価格表の違い

見積もりの金額の出し方は、大きく2つに分かれます。それぞれ読み方が違います。

金額の出し方読み方
㎡単価で出す面積に単価を掛けて出します。広い範囲をまとめて頼むときは総額が分かりやすい反面、面積の数え方がそろわないと比べにくくなります
部位ごとの単品で出す床・浴室・キッチンなど、部位ごとに金額が決まっています。どこを外すと総額がいくら変わるかを、自分で計算できます

相見積もりを取ると、この2つが混ざって届くことがあります。そのときは、㎡単価の見積書を部位ごとに分けてもらうと、並べて比べられます。当店の部位別の料金は、項目がどこまで分かれているかの見本として使えます。

見積もりが出てくるまでの手順も見ます

金額より先に見てほしいのは、その見積もりが、何を確かめたうえで出てきたかです。当店は、写真か図面、または現地調査で、床材と床の状態と範囲を確かめてから、正式な見積もりを出します。

床を一度も見ないまま出てきた金額は、あとで床の状態が分かったときに変わることがあります。契約の前に確かめておきたい点は、フロアコーティングの後悔4パターンに書いています。

流れは、範囲と希望の時期を伝える、写真か図面の確認または現地調査、概算、正式な見積書、項目のすり合わせ、日程の確定、の順です。現地調査をするかどうかで日数が変わるので、新築の引き渡し日や引っ越し日が決まっているなら、そこから逆算して早めに動くと、選べる日程が多くなります。

年数が書かれていたら、数字より条件を見ます

見積書や提案資料に、何年もつかが書かれていることがあります。そのときは数字の大小より、その数字にどんな条件が添えられているかを見てください。床材の種類、下地処理の有無、日当たりと湿度、その家での使い方のどれか1つが違うだけでも、もち方は変わります。

条件と、その数字が当てはまらない場合まで書かれていれば、自分の家と照らし合わせて考えられます。年数の数字の見方はフロアコーティングはいらない?にも書いています。

よくある質問

見積もりは何社から取るのがいいですか?

何社から取るかより、同じ条件で出してもらうことのほうが大切です。範囲・床材・剤の厚みがそろっていない5枚より、条件をそろえた2枚のほうが決めやすくなります。

相見積もりだと伝えても大丈夫ですか?

相見積もりでも大丈夫です。そう伝えていただければ、ほかの会社の見積書と並べやすいように、どの範囲・どの厚みで出したかを書き込んだ見積書をお出しします。

見積もりや現地調査に費用はかかりますか?

当店では、現地調査もお見積もりの作成も無料です。

現地を見てもらわずに金額を出してもらえますか?

概算なら、現地を見なくても出せます。床材が分かる写真、間取りが分かる図面、施工したい範囲の3つがあれば、概算の金額を絞り込めます。既存ワックスの有無や傷み具合は、写真だけでは分からないことがあるので、正式な金額は床を確かめてからになります。

新築の引き渡し前でも見積もりは取れますか?

図面と仕様書があれば、面積も床材の品番も分かるので、引き渡し前でも見積もりは取れます。引き渡し前に範囲を決めておくと、家具が入る前に施工日を入れられます。入居前と入居後で工程と条件がどう変わるかは、入居前と入居後のフロアコーティングの違いに書いています。

㎡単価が安い会社は、何が違うのですか?

㎡単価が安い理由は、施工範囲が狭い、下地処理が別の項目になっている、膜が薄い、既存ワックスの剥離が入っていない、のように、たいてい6項目のどれかに当てはまります。見積書でその理由を確かめられるなら、安いほうを選んでかまいません。分からないときは、どこが違うのかを聞いてみてください。

見積書に有効期限はありますか?

有効期限は、見積書に書かれていることが多いです。書かれていなければ、いつまでの金額かを聞いておいてください。新築の引き渡しを待つあいだのように、契約まで期間が空くときほど、確かめておくと日程を組みやすくなります。

見積書に無かった作業が、後から出てくることはありますか?

床には作業を始めてから分かる部分もあるので、後から作業が出てくることはあります。下地処理・既存ワックス・傷んだ部分の扱いを、契約の前に見積書へ書いてもらっておくと、追加になる条件も先に分かります。

水回りも一緒に頼むと、見積書はどうなりますか?

浴室・洗面・キッチンは床とは違う剤を使い、面積の数え方も工程も違うので、水回りは見積書では床とは別の項目になります。まとめて頼むときも、部位ごとに金額が分かれた見積書をもらっておくと、予算に合わせてあとから範囲を変えられます。水回りの見積書で確かめるところは水回りコーティングの見積もりについてにまとめています。

総額がいちばん安い見積もりを選んで問題ないですか?

6項目がそろっていて、そのうえで安いなら、選んでかまいません。項目がそろっていないときは、範囲が狭い、下地処理が入っていない、膜が薄い、といった安い理由がないかを確かめてください。理由に納得できれば、それも1つの選び方です。

まとめ

㎡単価を比べるのは、面積の数え方・床材・剤の厚みをそろえてからにしてください。見積書で見るのは、施工範囲、面積の出し方、床材と品番、下地処理と既存ワックスの扱い、コーティング剤の種類と膜厚、養生と家具移動と使用再開までの時間の6項目です。この6つを縦に、各社を横に並べると、どこが違うのかが分かりやすくなります。

条件のそろった見積書を最初から受け取るには、依頼のときに、間取り図、部屋名で書き出した範囲、床材の情報、入居前か入居後かと希望の時期、ワックスの有無の5つを伝えてください。そのうえで届いた見積書なら、金額の違いは、そのまま会社ごとの違いと考えられます。まずは、手元の見積書と部位別の料金のページを並べて、項目の分け方を見比べてみてください。