浴槽の内側と、右手の窓。ふちの左端に白い取っ手が付いています

先に結論を書きます。浴室コーティングで変わるのは、汚れが付くかどうかではなく、付いた汚れの落としやすさのほうです。そしてもう1つ、浴室の汚れはひとまとめにできません。水垢、石けんカス、黒ずみでは、正体も残る場所も違い、コーティングとの関係も変わります。とくにカビは、コーティングとは別の施工で扱います。この記事では、汚れを3つに分けたうえで、どこまで効いて、どこから先は効かないのかの線を引きます。

浴室の汚れは、大きく3つに分かれます

「浴室が汚れる」と一言で言っても、中身は同じではありません。ここを先に分けておかないと、効果の話が噛み合いません。

汚れ正体残りやすい場所
水垢水道水に含まれる成分が、乾いたあとに残ったもの鏡、水栓、浴槽のふち
石けんカス石けんやシャンプーの成分が、水道水の成分や皮脂と混じって残ったもの床、壁の下のほう、洗い場
黒ずみ湿気が抜けない場所で、皮脂や石けんカスを養分にして広がるもの目地、ゴムのパッキン、扉や窓のレール

並び順には意味があります。上の2つは、平らな面に乗って固まっていく汚れです。いちばん下だけは、面ではなく隙間から出てきます。この違いが、このあとの章でそのまま「コーティングで扱えるかどうか」の分かれ目になります。

変わるのは落としやすさで、汚れが飛んでこなくなるわけではありません

効果の中身を先にはっきりさせます。コーティングをすると、面の細かい凹凸が埋まり、表面が平らな状態に近づきます。汚れが面に入り込みにくくなるぶん、同じ汚れでも軽い力で落ちる段階が長く続きます。

逆に、変わらないことも書いておきます。浴室を使えば、水も石けんも皮脂も面に当たります。これはコーティングをしても止まりません。施工すれば掃除が要らなくなる、というものではなく、日々の拭き取りと組み合わせて初めて差が出ます。

浴室の窓ガラス。表面が白く曇り、下端のフレーム沿いに黒い筋が残っています

水垢は、固まる前の段階でいちばん差が出ます

水垢は、水滴が乾くたびに同じ場所へ積み重なります。1回では見えませんが、乾いた回数だけ層が増えていき、ある段階から白く曇って見えるようになります。ここまで固まると、家庭にある洗剤では戻りにくくなります。

コーティングが効くのは、この積み重ねが起きる手前です。乾いた成分がまだ面に食い込んでいないうちに落ちるので、軽い拭き取りで済む段階が長くなります。逆に言えば、すでに固まってしまった水垢そのものを、コーティングが溶かすわけではありません。固着した面には、施工の前に落とす工程が入ります。落としきれない面は、その部位だけ範囲から外すこともあります。使い始める前と後で工程がどう変わるかは入居前と入居後のフロアコーティングに書いています。

この差がいちばんはっきり出るのが鏡です。鏡の水垢は同じ位置に積み重なり、うろこ状の跡になります。ただし鏡だけは使う剤が他の部位と違うので、その話はあとの章に置きます。すでに固まってしまった鏡のウロコをどう見るかは浴室の鏡のウロコが取れない理由に、仕組みのほうから書いています。

カビは、コーティングとは別の施工で扱います

浴室の相談でいちばん多いのがカビですが、これは膜をつくるコーティングとは扱いが分かれます。当店では、除カビと防カビという2つの施工で扱っています。

  • 新築や、まだ使い始めていない浴室は、防カビから入ります
  • すでに使っている浴室は、先に除カビを行い、そのうえで防カビに進みます

すでにカビが出ている場所へ、そのまま防カビをかけることはできません。順番が逆になると、汚れが残った面の上に施工することになります。

効く範囲もはっきり書いておきます。湿度管理が極端に悪い環境では、防カビコーティングをしてもカビを完全には防げません。発生を遅らせる・広がりを抑える、という位置づけです。

黒ずみが出るのは、目地、ゴムのパッキン、扉や窓のレールなど、水が最後まで残る場所です。ここは平らな面ではなく隙間で、面を守る施工とは手当ての仕方が変わります。最初の表で3つ目だけ扱いが違うのは、このためです。

浴槽のふちと前面パネルの継ぎ目。線状に茶色い汚れが残っています

抗菌と防カビは、別のものです

言葉が似ているので混ざりやすいところです。当店の抗菌付きガラスコーティング薄膜は、浴室の壁にも床にも使えます。

抗菌効果の耐候年数は目安2年です。環境や使用・管理状態により異なります。

ただし、抗菌は防カビの言い換えではありません。カビが心配で相談される場合に見るのは、前の章の除カビと防カビのほうです。「抗菌が付いているからカビは出ない」という読み替えはしないでください。

浴室は、部位ごとに使う剤が変わります

浴室で選べるのは、浴槽、床、壁の全面、水栓、鏡の5か所です。これに、まとめて選べる浴室フルセットがあります。剤は、保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードから選びます。

部位保護性能重視バランス手軽な防汚
浴槽セラミックコーティングガラスコーティング超撥水コーティング
セラミックコーティングガラスコーティング超撥水コーティング
壁の全面ガラスコーティングガラスコーティング超撥水コーティング
水栓ガラスコーティングガラスコーティング超撥水コーティング
ガラスコーティング超親水ガラスコーティング超撥水コーティング

この表で押さえてほしいのは、鏡だけは超親水コーティングになることです。鏡に要るのは硬さより水垢の付きにくさで、鏡に対してはこれが最も保護力のある選択になります。剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴に、部位ごとの内容は単品ごとの価格表にまとめています。どの部位から先に決めるかという順番のほうは新築の水まわりコーティングは必要かに書いています。

効果を左右するのは、剤より使い方と環境のほうです

同じ剤を同じように施工しても、結果は家ごとに動きます。効いている状態が続くかどうかを決めているのは、次の3つです。

  • 換気。入浴後に湿気が抜けるまでの時間で、黒ずみの出やすさが変わります
  • 拭き上げ。最後に水滴を拭き取るかどうかで、水垢の積み重なり方が変わります
  • 下地の状態。コーキングの劣化や隙間があると、そこは面として守れません

だから、浴室の持ちは環境次第です。同じ浴室の中でも、毎日湯が当たる浴槽と、水が最後まで残る水栓と、湯気だけが当たる壁とでは条件が違います。年数を約束する説明を見たときは、どの前提での数字なのか、どこからが対象外なのかまで確認してください。

よくある質問

浴室コーティングをすれば、掃除はいらなくなりますか?

いりません、とは言えません。変わるのは、汚れが付いたときの落としやすさのほうです。拭き取りの回数がゼロになる施工ではありません。

今ある水垢や黒ずみは、コーティングで消えますか?

消えません。コーティングは、きれいにした面を保つための施工です。固着した水垢がある場合は先に落とす工程が入り、落としきれない面はその部位だけ範囲から外すことがあります。

カビが生えている浴室にも施工できますか?

そのままではできません。先に除カビを行い、カビを除去したうえで防カビに進む流れになります。

浴室の壁と床にも施工できますか?

できます。壁は全面、床も面として施工の対象です。抗菌付きガラスコーティング薄膜も、浴室の壁と床に使えます。

浴槽だけ、鏡だけでも頼めますか?

できます。浴室は部位ごとに分かれているので、1か所だけを選ぶことも、まとめて選ぶこともできます。

何年もちますか?

年数は一概には言えません。換気、拭き上げの習慣、使う洗剤とスポンジ、下地の状態で変わるためです。同じ浴室の中でも部位ごとに条件が違います。

まとめ

浴室コーティングの効果は、汚れの種類ごとに分けて見ると誤解が減ります。水垢と石けんカスに対しては、面に食い込みにくくして、軽く落とせる段階を長く保つ施工です。固まってしまった水垢を溶かす施工ではないので、その場合は先に落とす工程が入ります。カビはコーティングとは別で、除カビと防カビという施工で扱い、新築は防カビから、すでに使っている浴室は除カビのあとに防カビへ進みます。防カビでもカビを完全に防げるわけではなく、発生を遅らせる・広がりを抑える位置づけです。抗菌は防カビの言い換えではありません。部位は浴槽・床・壁・水栓・鏡に分かれ、鏡だけは超親水コーティングになります。