先に結論を書きます。キッチン天板のコーティングが必要かどうかは、その天板の素材と、そこに何が当たるかで決まります。天板は鍋やフライパンの熱、揚げ物や炒め物の油、調味料やコーヒーのシミが集中する場所で、同じキッチンの中でもシンクとは負荷の種類が違います。この記事は天板1品目に絞り、素材ごとの違いを先に説明したうえで、やらなくていい条件とやったほうがいい条件、範囲の決め方まで書きます。シンクや天板が新品か中古かで変わる下地処理の話は別の記事で扱っているため、ここでは深掘りしません。
キッチン天板で何が起きるか
キッチン天板は、キッチンの中でも当たるものの種類が多い面です。鍋やケトルを置く熱、揚げ物や炒め物の油はね、調味料や醤油、コーヒーなどのシミ、まな板代わりに使ったときの小傷。シンクが水と食材のカスを中心に受けるのに対し、天板は熱と油という、他の水まわりの部位にはあまりない負荷が重なります。素材によって、この負荷への強さが違います。
ステンレス
ステンレスは熱にも油にも比較的強い素材です。ただし水滴が乾いた跡や指紋、油はねの膜が表面に残りやすく、拭き取りが遅れると全体がくもったように見えてきます。傷そのものは目立ちにくい反面、細かい傷が集まると光の反射の仕方が変わって見えることがあります。
人工大理石
人工大理石は表面に細かい凹凸があり、色の濃い調味料や醤油、コーヒーなどの液体がその凹凸に入り込むと、シミとして残りやすくなります。熱にはステンレスほど強くなく、鍋やケトルを直接置くと変色につながることがあります。
メラミン化粧板
メラミン化粧板は表面が樹脂でおおわれているため、水や汚れそのものには強い素材です。ただし熱には弱く、熱いフライパンや鍋を直接置くと、表面が変色したり跡が残ったりすることがあります。
当店では、ステンレス・人工大理石・メラミン化粧板のこの3素材を理由に施工をお断りすることはありません。人工大理石やメラミン化粧板が熱に弱いというのは下地そのものの性質で、コーティング剤が持つ耐熱性能とは別の話です。セラミックコーティングは約400℃、無機ガラスコーティングは約1000℃の耐熱があり、天板にはどちらの剤も向いています。素材によって変わるのは施工の可否ではなく、使う剤の選び方のほうです。
やらなくていい条件
次のような天板では、急ぐ理由はありません。
- 鍋やケトルを直接置かず、鍋敷きを使う習慣がすでにある
- 調味料や油がはねたら、すぐ拭き取る習慣がすでにある
- 天板にまだ目立つシミや跡がない
- 数年以内に引っ越しや建て替えの予定があり、この天板を長く使う予定がない
コーティングをすると、汚れはつきにくくなり、ついてもコーティングの被膜の上に乗るので落としやすくなります。日々の拭き上げで維持することが基本になる点は変わらないため、熱と油に気を配る習慣がすでにある天板では、施工で変わる体感が小さくなります。
やったほうがいい条件
逆に、次のような天板では優先度が上がります。
- 揚げ物や炒め物の頻度が高く、油はねの拭き取りが追いつかない
- 醤油やコーヒーなどのシミが、すでに天板に残っている
- 鍋敷きを使わず、鍋やフライパンを直接置く習慣がある
- まな板代わりに天板を使うことがあり、小傷が気になる
コンロに近い天板ほど、熱と油はねの両方が集中します。同じ天板の中でも、コンロまわりとシンクから離れた作業スペースでは、当たる負荷の種類も量も違います。気になる範囲から先に決めることもできます。
どこまでやるか。天板だけを単品で頼めます
キッチンは、シンク・天板・コンロまわり・レンジフードの4か所に分かれています。天板はこの4か所のうちのひとつで、単品で依頼することも、まとめてキッチンフルセットとして依頼することもできます。コーティング剤の組み合わせは、部位ごとに変更できます。
剤は、保護性能重視・バランス・手軽な防汚の3つのグレードから選びます。保護性能を優先する場合はセラミックコーティングが中心です。剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴に整理しています。部位ごとの内容は単品ごとの価格表で先に見られます。
持ちの年数は、熱の当たる頻度、油の使用量、拭き取りの習慣で変わります。同じキッチンの中でも、天板とコンロまわりでは条件が違います。浴室・洗面台・トイレまで含めた水まわり全体の優先順は新築の水まわりコーティングは必要かに場所別で書いています。
施工したあとの手入れ
施工したあとも拭き取りは必要で、変わるのは掃除が要るか要らないかではなく掃除の仕方のほうです。
汚れはコーティングの上に乗るので、下地に直接付くよりも落としやすくなります。使う洗剤は中性洗剤を選び、拭き取りにはマイクロファイバークロスなど柔らかい布を使います。デッキブラシのような硬いものでこすると、コーティングを傷つけやすいため推奨しません。
熱についても、鍋やフライパンは鍋敷きを使うほうが、天板もコーティングもより長持ちします。強くこすらずに油汚れが落ちる場面が増えるぶん、天板もコーティングも傷みにくくなります。
よくある質問
キッチン天板だけを単品で頼めますか?
できます。天板はシンク・コンロ・レンジフードと別に、単品で選べる項目のひとつです。まとめてキッチンフルセットとして依頼することもできます。
ステンレスでも人工大理石でも施工できますか?
できます。ステンレス・人工大理石・メラミン化粧板のいずれも施工の対象で、この3素材を理由にお断りすることはありません。変わるのは可否ではなく、使う剤の選び方です。
熱いフライパンを直接置いても大丈夫ですか?
はい。セラミックコーティングは約400℃、無機ガラスコーティングは約1000℃の耐熱があり、天板にはどちらの剤も向いています。熱を理由に天板の施工をためらう必要はありません。そのうえで、鍋敷きを使う習慣があると、天板もコーティングもより長く保てます。
シミ付きはコーティングで防止できますか?
シミはつきにくくなります。ついてしまっても、コーティングの被膜の上に乗るぶん取りやすくなります。だからこそ、マイクロファイバークロスなどでの日々の拭き上げで維持することが大事です。
シンクと同じタイミングで頼んだほうがいいですか?
まとめる必要はありません。判断に使う材料が違うためです。シンクは新品か、すでに使っているかで最初の工程が変わりますが、天板は素材と、熱・油・シミへの当たり方が判断の軸になります。その違いはキッチンのコーティングは必要かに書いています。
まとめ
キッチン天板のコーティングが必要かどうかは、素材と、そこに何が当たるかで決まります。ステンレスは熱と油に強い一方で跡が付きやすく、人工大理石は凹凸にシミが入り込みやすく、メラミン化粧板は水や汚れに強い一方で熱に弱いという違いがあります。ステンレス・人工大理石・メラミン化粧板のいずれも施工の対象で、この3素材を理由にお断りすることはありません。天板はシンク・コンロ・レンジフードと分けて単品で依頼することも、フルセットで依頼することもできます。そして施工したあとも拭き取りは必要で、鍋敷きを使う習慣があると、天板もコーティングもより長持ちします。