入居前の空室です。床にはまだ家具が置かれていません

新築の入居前にやることは、「入居後にはできなくなる順」に並べると迷わなくなります。家具が入るとできなくなる作業が先、あとからでも間に合う作業は後です。家そのものへの作業は、①引き渡し時のチェック、②掃除、③床と水まわりのコーティング、の3ステップに整理できます。この記事では、それぞれについて「入居前にしかできないのか」「入居後でも間に合うのか」を分けて説明します。

引き渡しから入居までにやること全リスト

やることは大きく2つに分かれます。役所や契約まわりの手続きと、家そのものへの作業です。手続きは引っ越し日が決まれば動けます。家への作業は、引き渡し後の「空っぽの期間」にしかできません。

手続き系(日程が決まれば進められる)

  • 電気・ガス・水道の開栓。ガスは立ち会いが要るので早めに予約する
  • インターネット回線の申し込み。工事が要る場合は1か月前が目安
  • 転出届・転入届、郵便物の転送手続き
  • 火災保険・地震保険の契約
  • 駐車場、ゴミ出しのルール、自治会の確認

家への作業(空っぽの期間にしかできない)

  1. 引き渡し時のチェック(傷・汚れ・不具合をその場で伝える)
  2. 掃除(サッシ、建具の上、収納の中、水まわり)
  3. 床と水まわりのコーティング・保護(フェルト、防汚、コーティング)

この記事で扱うのは、後半の3つです。順番を入れ替えると二度手間になります。理由は次のとおりです。

順番を決めているのは「家具」

入居前と入居後で決定的に違うのは、床に物が置かれているかどうかです。家具と家電が入ると、次の作業はできなくなるか、手間が何倍にもなります。

  • 床の全面作業(ワックス、コーティング、その下処理)
  • 収納の内部、棚板の裏、備え付け家具の裏の掃除
  • 冷蔵庫・洗濯機の設置場所になる床と壁の掃除
  • 巾木ぎわ、サッシの下など、家具でふさがれる床のきわの作業

逆に、カーテンレールの取り付けや照明の交換は、入居後でも同じようにできます。「家具が入った時点で終わる作業」を先に、そうでない作業を後に回す。これが順番の基準です。

①引き渡し時に見るところ

最初にやるのは掃除ではなく、確認です。引き渡しのときに見つけた傷や不具合は、施工会社側で直してもらえる範囲が広くなります。入居して数か月経つと、いつ付いた傷なのかを証明できません。

  • 床・建具・壁紙の傷、へこみ、めくれ
  • サッシと網戸の建て付け。開け閉めが引っかからないか
  • 扉と引き出しの開閉。ぶつかる箇所がないか
  • 水を流して、シンク下・洗面台下の配管から漏れがないか
  • コンセント、換気扇、給湯器のリモコンが動くか

見つけたら、その場で写真を撮り、場所と内容を書き出して渡します。口頭だけで伝えると、担当者が変わったときに残りません。

②掃除は「養生をはがした直後」が一番楽

引き渡し前にハウスクリーニングが入っている物件でも、掃除はゼロにはなりません。工事の養生をはがした後の細かい粉じんが、上のほうと隙間に残っているためです。

クリーニング済みでも残りやすい場所

  • サッシのレールと戸車の溝。砂とコンクリートの粉が溜まりやすい
  • ドア枠・窓枠の上側。手が届きにくく見落とされやすい
  • 収納の中と棚板。物を入れると二度と拭けない
  • レンジフードの内側、コンロ下の引き出し
  • シンク下と洗面台下の配管まわり
  • 玄関のたたきと框(かまち)の隅

順番は上から下です。ドア枠の上を先に拭き、最後に床を拭きます。逆にやると、落ちた粉じんで床をもう一度やり直すことになります。

やらなくていいこと

入居前に洗剤で床をゴシゴシ洗う必要はありません。新築のフローリングはまだ汚れていません。強い洗剤やメラミンスポンジを使うと、表面の仕上げを削って光沢が変わることがあります。掃除機と、固く絞った雑巾で十分です。

③床と水まわりのコーティングは、使い始める前がいちばん効く

ここが「後からできなくなること」の中心です。床も水まわりも、まだ何も付いていない状態が一番きれいで、保護をかけるには最も条件がいいタイミングになります。

別の部屋の角です。巾木沿いに養生テープが見えます

床

  • 家具の脚にフェルトを貼る。家具を入れる当日に貼るのが確実
  • ワックスやコーティングをするなら、家具が入る前の一度きり
  • 新築のフローリングにワックスが塗られていることがある。コーティングをする場合は、その層を落としてからになる

家具が入った後にやると、家具を動かしながらの分割施工になります。継ぎ目が出やすく、費用も日数も増えます。

床材によって工程も変わります。無垢材は塗ったものを内部に吸い込むので、下地処理を挟まないと表面に残る膜が薄くなります。加工木材(複合フローリング)は吸い込みが少ない代わりに、表面の仕上げ方が製品ごとに違います。現地で床材を見たうえで出てきた見積もりかどうかは、金額を比べる前に確認する所です。新築でコーティングをするかどうかを一から考えたい場合は、新築にフロアコーティングは必要かで判断の順番を整理しています。

水まわり

浴室・トイレ・キッチン・洗面台は、使い始めた時点から水垢と皮脂が入り始めます。一度こびり付いた水垢は、洗剤では落ちません。削るか、専用の薬剤で溶かす作業が先に必要になります。入居前なら、その工程がまるごと不要です。

優先順位を付けるなら、水が当たり続ける場所からです。浴室の床と壁、洗面台のボウル、キッチンのシンクと調理台。ここは汚れの進み方が早く、あとから戻す手間が一番大きくなります。逆に、あまり使わないトイレや来客用の洗面は、後回しにしても差が出にくい場所です。場所ごとに必要かどうかをもっと詳しく知りたい場合は新築の水まわりコーティングは必要かで5か所に分けて説明しています。

コーティングの持ちは、素材・日当たり・湿気・使い方によって変わります。何年もつかを一律の数字で言い切れるものではありません。年数の目安を聞くときは、「どういう条件での目安か」をセットで確認してください。同じ商品でも、浴室と居室の床では条件がまったく違います。

どの場所にいくらかかるのかは、部位ごとに単価が分かれています。水まわり・床の施工内容と価格の目安を見ると、入居前に頼む範囲を決める材料になります。

入居後でも間に合うこと

全部を引き渡しから入居までの数週間に詰め込む必要はありません。次の作業は、入居後でも条件が変わりません。

  • カーテンレール・カーテンの取り付け
  • 照明器具の交換、シーリングファンの設置
  • 表札・ポスト・宅配ボックスの設置
  • 棚やフックの取り付け(下地の位置を確認してから)
  • 網戸の張り替え、シャワーヘッドの交換

入居前の期間は限られています。ここに挙げた作業に時間を使うより、家具が入ると終わる作業を先に片付けるほうが結果的に楽になります。

マンションと戸建てで違うところ

マンション

  • 作業できる曜日と時間が管理規約で決まっている。搬入経路の養生も申請が要ることが多い
  • エレベーターの使用予約が要る。同じ時期に入居が重なると希望日が取れない
  • 共用部分に手を加える工事はできない。玄関ドアの外側やバルコニーは共用部分の扱いになることが多い

戸建て

  • 外まわりの作業がある。基礎の通気口、雨どい、玄関ポーチとテラスの汚れ
  • 床面積が広く、階段がある分、床の作業は日数が増える
  • 作業日程の制約は少ない。引き渡しから入居までの日数を長めに取りやすい

マンションは日程の制約が先、戸建ては作業量が先に効いてきます。どちらも、業者に頼む作業があるなら引き渡し日が決まった時点で相談しておくと、入居日の直前で慌てずに済みます。

後戻りできない作業だけ、先に決める

入居前にやることを全部完璧にやろうとすると、時間が足りません。判断の基準はひとつで、入居後にやり直しが効くかどうかです。

やり直しが効かない、または費用が大きく増えるのは次の作業です。

  • 家具が置かれる場所の床の施工。後からは分割作業になる
  • 収納の内部と備え付け家具の裏の掃除
  • 水まわりの保護。汚れが入る前と後では、必要な工程が変わる
  • 引き渡し時の傷・不具合の申し出。時間が経つほど扱いが難しくなる

逆に、これ以外はあとからでも間に合います。全部を自分でやる前提だと入居日に間に合わないので、業者に頼む範囲を先に決めるほうが早く片付きます。相談から施工までの流れと、当日どう進むかを見ると、引き渡し日から逆算して予定を組めます。

よくある質問

入居前の準備は、どのくらい前から動けばいいですか?

手続き系は引っ越し日が決まった時点から動けます。家への作業は引き渡し後にしかできないので、引き渡し日が決まった段階で日程を押さえます。業者に頼む作業がある場合、繁忙期は予約が取りにくくなります。引き渡しの1か月前には相談しておくと、選択肢が残ります。

ハウスクリーニング済みでも、自分で掃除する必要はありますか?

全面的な掃除は不要です。ただし、養生をはがした後の粉じんはドア枠の上やサッシのレールに残ります。収納の中は、物を入れると二度と拭けません。この2か所だけは、入居前に拭いておくと後が違います。上から下の順でやるのが基本です。

コーティングは入居後だと頼めませんか?

入居後でも施工はできます。ただし家具を動かしながらの分割作業になり、日数と費用が増えます。水まわりは、汚れが入った後だと落とす工程が先に必要です。入居後にできないわけではなく、同じ結果を出すための手間が増える、と考えてください。工程・費用・生活への影響をさらに詳しく比べた記事は入居前と入居後のフロアコーティングにまとめています。

入居前にやることを全部やる時間がありません。何を優先すべきですか?

「入居後にやり直しが効かないもの」だけを優先します。具体的には、引き渡し時の傷の申し出、収納内部の掃除、家具が置かれる床の施工、水まわりの保護の4つです。カーテンや照明、棚の取り付けは入居後でも条件が変わりません。後回しにして問題ありません。