レンジフードの前面パネルを開けた状態。奥にフィルターが見えます

先に結論を書きます。レンジフードのコーティングが必要かどうかは、油煙が固まって生まれるベタつきと、フィルターの網目が油で詰まっていくことの2つで判断します。コンロ・IHのコーティングは調理面に飛び散った油や吹きこぼれが対象でしたが、レンジフードは違います。フードは加熱中に立ち上る油を含んだ蒸気、いわゆる油煙を上から吸い込む場所なので、調理面に直接落ちる油ではなく、吸い込まれた油煙がフード内部やフィルターの表面に少しずつ回り込んで付着します。この記事はレンジフードの前面パネルと内部のフィルターに絞り、やらなくていい条件とやったほうがいい条件、範囲の決め方まで書きます。天板やコンロの油汚れ、キッチン全体の下地処理の考え方は別の記事に譲ります。

レンジフードで起きているのは油煙のベタつきとフィルターの目詰まりです

レンジフードまわりの汚れは、大きく2種類に分かれます。油煙のベタつきは、加熱で発生した油を含む蒸気が吸い込まれる際、フード前面や内部のファンまわりに触れて冷え、粘り気を帯びた膜として面に残ったものです。フィルターの目詰まりは、同じ油煙に含まれる油分がフィルターの網目に少しずつ積み重なり、通気の隙間をふさいでいく現象です。

汚れ正体出やすい場所
油煙のベタつき加熱で発生した油を含む蒸気が吸い込まれる際に冷え、粘り気を帯びて面に残ったものフード前面、内部のファンまわり
フィルターの目詰まり油煙に含まれる油分がフィルターの網目に少しずつ積み重なり、通気の隙間をふさいでいくものフィルターの網目全体、特に吸い込み口に近い部分

どちらの汚れも、調理のたびに積み重なるという点は共通していますが、進み方は違います。油煙のベタつきは面の上に薄く広がるように増えていくのに対し、フィルターの目詰まりは網目という限られた隙間に溜まるため、同じ量の油煙でも詰まりのほうが先に体感されやすくなります。換気の効きが悪くなったと感じるときは、フィルターの目詰まりがかなり進んでいる段階のことが多くなります。

やらなくていい条件

次のようなレンジフードでは、急ぐ理由はありません。

  • フィルターを定期的に外して洗う習慣がすでにある
  • 揚げ物や中華料理の頻度が低く、油煙の量がもともと少ない
  • フード前面のベタつきに気づいたら、その都度拭き取っている
  • 数年以内に引っ越しや建て替えの予定があり、このレンジフードを長く使う予定がない

コーティングをすると、油煙は面に固着しにくくなり、ついても被膜の上に乗るので拭き取りやすくなります。フィルターを外して洗う習慣で維持することが基本になる点は変わらないため、その習慣がすでにあるレンジフードでは、施工で変わる体感が小さくなります。

やったほうがいい条件

逆に、次のようなレンジフードでは優先度が上がります。

  • フィルターの網目に油の膜がすでに張り、通気が悪くなっていると感じる
  • フード前面や取っ手まわりがベタつき、拭いてもすぐ手触りが戻る
  • 揚げ物や中華料理など、油を多く使う調理の頻度が高い
  • フィルター掃除の間隔が空きがちで、気づくと油が固まっている
フード内部に取り付けられたアルミ製フィルターの網目です

油を多く使う調理の頻度が高いほど油煙の量も増え、フィルターの網目がふさがるまでの期間が短くなります。フィルター掃除の間隔が空きがちな家庭ほど、施工で変わる体感を実感しやすくなります。

どこまでやるか。レンジフードだけを単品で頼めます

キッチンは、シンク・天板・コンロまわり・レンジフードの4か所に分かれています。レンジフードはこの4か所のうちのひとつで、単品で依頼することも、まとめてキッチンフルセットとして依頼することもできます。

レンジフードに使う剤は、保護性能を優先するグレードでもバランス型でもガラスコーティングで、シンクや天板のセラミックコーティングとは違います。手軽な防汚にあたる超撥水コーティングは、膜をつくるコーティングではなく、汚れの付きにくさだけに振ったお手軽なタイプです。剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴に整理しています。前面パネルとフィルター以外の内部部品まで含めるかは、機種の形状によって現地で確認したうえで決まります。

天板の素材ごとの違いはキッチン天板のコーティングは必要か、コンロの油汚れと焦げつきはコンロ・IHのコーティングは必要か、シンクの水垢ともらいサビはキッチンシンクのコーティングは必要か、下地処理を含めたキッチン全体の考え方はキッチンのコーティングは必要かに書いています。部位ごとの内容は単品ごとの価格表で先に見られます。水まわり全体の優先順は新築の水まわりコーティングは必要かにまとめています。

施工したあとの手入れ

施工したあとも手入れは必要で、変わるのは掃除が要るか要らないかではなく掃除の仕方のほうです。

油煙のベタつきはコーティングの上に乗るので、下地に直接付くよりも拭き取りやすくなります。使う洗剤は中性洗剤を選び、拭き取りにはマイクロファイバークロスなど柔らかい布を使います。デッキブラシのような硬いものでこすると、コーティングを傷つけやすいため推奨しません。フィルターも、油分が網目の面に食い込みにくくなるぶん洗い流しやすくなりますが、外して洗う頻度を減らしてよいわけではなく、定期的に取り外して洗う習慣は引き続き必要です。強くこすらずに落ちる場面が増えるぶん、レンジフードもコーティングも傷みにくくなります。

よくある質問

レンジフードだけを単品で頼めますか?

できます。レンジフードはシンク・天板・コンロまわりと別に、単品で選べる項目のひとつです。まとめてキッチンフルセットとして依頼することもできます。

フィルターの目詰まりはコーティングで防げますか?

油分が網目の面に食い込みにくくなるぶん詰まりにくくなり、外して洗うときに油分が落ちやすくなります。すでに固着した油分を溶かす施工ではないため、その場合は先に落とす工程が入ります。

フード前面のベタつきはどう変わりますか?

面に固着しにくくなるぶんつきにくくなり、ついても被膜の上に乗るのでこすらず拭き取りやすくなります。すでにベタついている面には、施工の前に落とす工程が入ります。

フィルターは自分で外して洗ってもいいですか?

できます。フィルターを取り外して中性洗剤で洗うというお手入れそのものは、施工後も変わらず必要です。コーティングによって変わるのは、油分が網目に食い込みにくくなり、こすらず洗い流せる場面が増えることです。

どのくらい持ちますか?

レンジフードの持ちは、揚げ物や中華料理の頻度、フィルターを洗う間隔といった環境で変わります。同じレンジフードでも、フード前面とフィルターの網目では条件が違います。

まとめ

レンジフードのコーティングが必要かどうかは、油煙が固まって生まれるベタつきと、フィルターの網目が油で詰まっていくことの2つを軸に見ると判断しやすくなります。コンロが調理面に落ちた油を対象にするのに対し、レンジフードは上から吸い込んだ油煙が内部やフィルターに回り込んで付着する点が違います。コーティングをすると2つとも面に固着しにくくなり、ついても被膜の上に乗るので拭き取りや洗い流しがしやすくなりますが、フィルターを定期的に外して洗う習慣は施工後も変わりません。レンジフードに使う剤は、保護性能を優先するグレードでもバランス型でもガラスコーティングで、シンクや天板のセラミックコーティングとは違います。レンジフードはシンク・天板・コンロまわりと分けて単品で依頼することも、フルセットで依頼することもできます。