先に結論から書きます。フロアコーティングのメリットは4つ、デメリットも4つです。メリットは、汚れが染み込む前に拭き取れること、細かい擦り傷が入りにくくなること、ワックスの塗り直しが要らなくなること、剤によっては滑りにくさを足せることです。デメリットは、費用がかかること、硬化するまでその部屋を使えないこと、あとから簡単には戻せないこと、いま床にある傷や床鳴りは直らないことです。この記事は8項目を同じ深さで並べる総覧です。仕組みそのものはフロアコーティングとはにまとめています。
8項目の一覧
先に全体を出します。詳しくは下で1項目ずつ書きます。
| 区分 | 項目 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| メリット | 1. 汚れが染み込まない | 時間が経ってから気づいても拭き取りで対応できる |
| 2. 細かい擦り傷が入りにくい | 砂・椅子の脚・爪が床材に直接あたらなくなる | |
| 3. ワックスの塗り直しが要らない | 定期的な作業の予定を組まなくてよくなる | |
| 4. 滑りにくさを足せる | 剤による。ぬれた床で滑る場所に効く | |
| デメリット | 5. 費用がかかる | 無料ではない。材料費と工事費が発生する |
| 6. 硬化するまで部屋を使えない | 歩ける時間と家具を戻せる時間は別 | |
| 7. あとから簡単には戻せない | 日常の掃除では落ちない。艶の印象も含めて残る | |
| 8. いまある傷や床鳴りは直らない | 膜を足す施工で、床を新品に戻すものではない |
メリット4項目
1. 汚れが床に染み込む前に拭き取れる
フローリングの表面には、木目に沿った細かい凹凸があります。皮脂や食べこぼし、飲み物のしずくは、ここに入り込みます。いったん染み込むと、拭いても輪郭が残ります。
コーティングの膜は、この染み込みの経路をふさぎます。汚れは膜の上にとどまるので、時間が経ってから気づいた場合でも拭き取りで対応できます。水まわりでは、水垢や石けんカスが同じ働き方をします。
日々の掃除は、掃除機と固く絞った水拭きで足ります。ただし、研磨剤の入った洗剤や、たわしのように硬いものでこするのは避けてください。膜に細かい傷が入ります。
2. 細かい擦り傷が入りにくくなる
床の傷の多くは、靴の裏から持ち込まれた砂粒、椅子の脚、ペットの爪によるものです。膜があると、これらが床材に直接あたらなくなります。生活のなかで少しずつ増えていく擦り傷は、ここで受け止められます。
ただし「傷がつかない」わけではありません。重い物を落とせば膜ごと床材がへこみますし、金属を引きずれば線は入ります。防げるのは、日々積み重なる細かい擦り傷のほうです。
何年もつかは断定できません。床材の種類、下地処理の有無、日当たりと湿度、その家での使い方で差が出ます。年数の数字を見るときは、どんな条件で出た数字なのかを一緒に確認してください。
3. ワックスの塗り直しが要らなくなる
ワックスは床の表面に乗せるもので、定期的な塗り直しが前提です。剥離剤で落として塗り直す作業が、その床を使い続けるかぎり続きます。
コーティングは、この前提を置いていません。硬化したあとは日常の掃除では落ちないため、塗り直しの予定を組む必要がなくなります。手間そのものを減らしたい場合、8項目のなかでいちばんはっきりした差になります。
逆に言えば、塗り直しを苦にしない方にはワックスで足りる場合もあります。どちらが上という話ではありません。
4. 剤によっては、ぬれた床の滑りにくさを足せる
ぬれた床で足を取られるのは、浴室、洗面所、キッチンの前です。コーティング剤のなかには、この滑りにくさを足せるものがあります。
小さなお子さんや高齢のご家族、犬や猫がいる家では、掃除の楽さより先にこちらを優先することがあります。ぬれた床になりやすい場所から優先して範囲を決める、という考え方です。
ただし、すべての剤に付く性能ではありません。何を優先した剤なのかは種類とグレードで変わります。当店の場合、どのグレードが何を優先しているかはコーティングの選び方に出しています。
デメリット4項目
5. 費用がかかる
当たり前のことですが、最初に書いておきます。フロアコーティングは無料ではありません。材料費に加えて、下地処理・養生・塗布・乾燥管理までの工事費が発生します。
新築の引き渡し前後は、家具や家電など他の出費が重なる時期でもあります。ただし、範囲は全室一括である必要はありません。人と椅子がよく動く場所から絞ることもできます。
この記事では金額を書きません。素材、床の状態、範囲で動くためです。部位ごとの金額は単品ごとの価格表で先に見られます。範囲を決めてから見積もりを取ると、比べる前提がそろいます。
6. 硬化するまで、その部屋を使えない
塗ってすぐ元の生活に戻れるわけではありません。硬化にかかる時間は、剤の種類、室温、湿度で変わります。歩けるようになる時間と、家具を戻せる時間も別です。
住みながらの施工はできますが、1部屋ずつ、あるいはフロアごとに区切って進めることになります。そのあいだ、荷物の一時的な移動先が要ります。
入居前なら家具が無いぶん工程は少なくて済みます。入居後は皮脂汚れの洗浄が加わります。日程は範囲と一緒に先に決めておくと、途中で組み直さずに済みます。
7. あとから簡単には戻せない
硬化した膜は、日常の掃除では落ちません。ワックスのように剥離剤で落とす前提にもなっていません。3番目のメリットの裏返しです。
効いてくるのは見た目のほうです。艶の出方は剤と施工内容で変わります。写真だけで決めると、仕上がってから印象が違うということが起こります。同じ床でも、上の写真のように日が差す時間帯と、夜の照明の下では見え方が変わります。
ここは、契約の前に実物のサンプルを自宅の床に置いて、時間帯を変えて確かめてください。決め方でつまずきやすい点はフロアコーティングの後悔4パターンに整理しています。
8. いま床にある傷や、床鳴りは直らない
コーティングは床の上に膜を1枚足す施工で、床を新品に戻すものではありません。すでに入っている傷、色の抜け、水じみは、膜をかけても消えません。その状態のまま残ります。
補修するかどうかは、コーティングとは別に決める工事です。床鳴りや床のたわみは下地の話なので、表面の施工では変わりません。日差しによる色の変化を、完全に止めるものでもありません。
できないことを先に知っておくと、施工後に食い違いません。8項目のうち、この項目だけは事前の期待を下げる方向にはたらきます。
なお、当店のセラミックコーティングと、フロア専用のガラスコーティング厚膜には10年保証があります。ただし保証年数と持続年数は別物です。保証には対象外の条件もあり、日常生活での傷、お客様ご自身や他業者による補修のあと、リフォームによる損傷などは対象になりません。
8項目のどれを重く見るかで、結論が変わります
同じ8項目を見ても、家によって答えは違います。判断が分かれるのは、たいてい次の3点です。
- その床を、これから何年使うつもりか。短ければ、メリット側はほとんど効きません
- 床の細かい傷を、生活の跡として受け入れられるか
- 掃除とワックスの手間を、費用で減らしたいと思うか
この3点で「やらない」に振れるなら、それは正しい判断です。床の条件から見た「いらない」側の整理はフロアコーティングはいらない?に書いています。新築で、入居前にどこまで施工するかを決める場合は、答える順番を新築にフロアコーティングは必要かに書いています。
よくある質問
メリットとデメリット、どちらが大きいですか?
家によって変わるため、一律には言えません。判断の分かれ目は、その床をこれから何年使うかです。長く使う予定があり、掃除とワックスの手間を減らしたいなら、メリット側が効きます。数年で住み替えるなら、費用の項目が重くなります。
費用の目安はどのくらいですか?
この記事では金額を書きません。素材、床の状態、範囲で動くためです。単品ごとの価格表を先に見て、施工する範囲をご自身で決めてから見積もりを取ると、比べる前提がそろいます。総額1行の見積書では比べられません。
施工中も家に住んだままでいられますか?
住みながらでもできます。ただし、施工した部屋は硬化するまで使えません。1部屋ずつ、あるいはフロアごとに区切って進めます。荷物の一時的な移動先が必要になるため、範囲と日程は先に決めておきます。
コーティングをしても傷はつきますか?
つきます。防げるのは、砂粒や椅子の脚による日々の細かい擦り傷のほうです。重い物を落とせば膜ごと床材がへこみますし、金属を引きずれば線は入ります。「傷がつかなくなる施工」ではありません。
まとめ
フロアコーティングの8項目は、どれかひとつが決定打になるものではありません。その床を何年使うか、細かい傷を受け入れられるか、手間を費用で減らしたいか。この3点にご自身で答えを出すと、8項目のうちどれを重く見るかが決まり、やるかやらないかの結論もそこで出ます。