先に結論から書きます。フロアコーティングとワックスの違いは、表面に硬い膜をつくって硬化させるか、表面に乗せるだけで硬化させず定期的に塗り直すか、という仕組みの違いです。費用ではなく、塗り直しの頻度と日々のお手入れの手間で比べると、選ぶときの基準がはっきりします。コーティングの種類そのものはフロアコーティングの種類と特徴に、コーティング単体のメリットとデメリットはフロアコーティングのメリットとデメリット8項目にまとめているので、この記事はワックスとの対比に絞ります。
表で見る違い
まず全体を並べます。詳しくは下で1項目ずつ書きます。
| 項目 | フロアコーティング | ワックス |
|---|---|---|
| 仕組み | 表面に硬い膜をつくり硬化させる | 表面に乗せるだけで硬化はしない |
| 塗り直し | 基本的に不要 | 定期的な塗り直しが前提 |
| 剥がし方 | 専用の剥離剤では落とせない | 専用の剥離剤で落とせる |
| 施工の手間 | 下地処理と乾燥待ちがある | 比較的手軽にかけ直せる |
| 日々のお手入れ | 中性洗剤と柔らかい布 | 同じく中性洗剤と柔らかい布 |
フロアコーティングは「塗り直さない」ことに寄せた施工です
膜が汚れの染み込みを受け止めるため、時間が経ってから気づいた汚れでも拭き取りで対応しやすくなります。ワックスの塗り直しという定期的な作業そのものが要らなくなるのが、いちばんはっきりした違いです。
ただし、膜の上に乗った汚れが自然に消えるわけではありません。放置すれば汚れは膜の上に残ったままなので、気づいたタイミングで拭き取る習慣は変わらず必要です。日々の手入れは中性洗剤と柔らかい布で足ります。研磨剤入りの洗剤やデッキブラシのような硬いものでこすると膜に細かい傷が入りやすくなるため避けてください。強くこすらないほど、艶や膜の状態を保ちやすくなります。
なお、セラミックコーティングと、フロア専用のガラスコーティング厚膜には10年保証があります。ただし保証年数と持続年数は別物です。日常生活での傷、お客様ご自身や他業者による補修のあと、リフォームによる損傷などは対象になりません。
ワックスは「都度かけ直す」ことが前提の施工です
ワックスは表面に乗せるものなので、歩行や掃除で少しずつすり減っていきます。一般的には半年に一度を目安に塗り直すとされていますが、人の出入りの多さや床の材質、日当たり、使用するワックスの種類によって、半年より早く艶が落ちる場合もあれば、1〜2年ほどもつ場合もあります。
古いワックスの層が残ったまま重ね塗りを続けると、黄ばみやムラの原因になります。そのため、定期的に専用の剥離剤で古い層を落としてから塗り直すのが基本です。この「剥がして戻せる」性質が、コーティングとの大きな違いになります。
ワックスが向く場面
- 賃貸住宅で、退去時に元の状態へ戻す原状回復を意識している場合。ワックスは剥離剤で落とせるため、床材そのものに手を加える範囲を抑えられます
- 模様替えや引っ越しの予定が近く、床への対応を一時的なものにとどめたい場合
- 艶の印象だけを手早く整えたい場合。部分的な塗り直しもしやすいという特徴があります
逆に、塗り直しの手間そのものをなくしたい場合や、これから長く同じ床を使う予定がある場合は、コーティングを検討する理由になります。どちらが優れているという話ではなく、その家の使い方に合わせて選ぶものです。
手入れの違いをもう少し詳しく
日々の掃除は、コーティングもワックスも掃除機と中性洗剤・柔らかい布で共通しています。違いが出るのは、強い力を加えたときです。ワックスの層は表面に乗っているだけなので、硬いブラシで強くこすると層ごとはがれやすくなります。コーティングの膜は硬化しているため、日々の細かい擦り傷は比較的つきにくくなりますが、傷への強さや保護性能まで含めた総合的な比較はフロアコーティングのメリットとデメリット8項目で8項目に分けて書いています。
写真のように窓からの光が差し込む時間帯は、艶の映り込みがいつもよりはっきり見えます。どちらの施工でも、見え方は光の当たり方で変わるので、艶の印象だけで判断せず、実際の生活時間帯に近い光で確かめると失敗しにくくなります。
どちらを選ぶか、3つの軸で考える
- その床を、これから何年使うつもりか。短ければワックスで足りることが多くなります
- 退去や模様替えなど、床を元に戻す予定があるか
- 塗り直しの手間をなくしたいか、多少の手間は許容できるか
新築で入居前にどこまで決めるかは新築にフロアコーティングは必要かに、コーティングを見送ってよい床の条件はフロアコーティングはいらない?に整理しています。仕組みそのものから確認したい場合はフロアコーティングとはもあわせてご覧ください。
よくある質問
ワックスの上からフロアコーティングはできますか?
まず既存のワックスを剥離してから施工するのが基本です。ワックスの層が残ったままだと、コーティング剤が密着しにくくなることがあるため、下地処理の一環として剥離作業を行います。
コーティング後にワックスをかけてもいいですか?
基本的には必要ありません。硬化した膜の上にワックスを乗せると、拭き取りにムラが出たり、次に手入れをする際に落としにくくなったりすることがあります。艶を足したい場合は、まず施工した業者に相談してください。
ワックスの塗り直しはどれくらいの頻度が目安ですか?
目安は半年に一度です。人の出入りの多さや床の材質、日当たり、使用するワックスの種類によって、半年より早く艶が落ちる場合もあれば1〜2年ほどもつ場合もあり、艶が薄れてきた、色にムラが出てきたと感じたタイミングで見直すと分かりやすいです。
費用はどちらが安いですか?
この記事では金額を書きません。ワックスは塗り直しの回数が増えるほど手間が積み重なり、コーティングは初回にまとまった費用がかかるという違いがあります。施工する範囲を決めたうえで単品ごとの価格表を見ると、比べる前提がそろいます。
まとめ
フロアコーティングとワックスは、どちらが優れているかではなく、床に何を求めるかで選ぶものです。塗り直しの手間をなくしたいなら膜をつくるコーティング、退去や模様替えの予定があって元に戻しやすさを優先するならワックスが向きます。仕組みの違いを踏まえたうえで、その家の使い方に合わせて選んでください。