結論から書きます。新築のオプションでフロアコーティングを勧められたら、その場で返事をしなくてかまいません。誰が施工するのか、何をどの厚みで塗るのか、艶はどの程度か、範囲はどこまでか、住んでからの相談窓口はどこか、内訳に何が入っているか。この6つが言葉と数字で示されているかどうかが判断の材料です。オプションで頼む、断って専門の業者に頼む、施工しない。3つとも普通の選択です。新築マンションのオプション会で先に見ておく4点は新築マンションのフロアコーティングに書いているので、ここではその先の観点を扱います。
どの場面で勧められるか
案内が出てくる場面は、だいたい決まっています。
- 内覧会や完成見学会で、床の仕上げの話の流れで
- 設備や内装を選ぶオプション会や打ち合わせで、カタログの1項目として
- 引き渡し前の案内やチェックリストに、申し込み期限つきで載っている
- 引き渡しや鍵の受け取りのときに、紹介というかたちで
共通しているのは、カーテンや照明、エアコンなど、床以外の話も同時に進んでいる場面だという点です。決めることが多い時期に床の話が1項目として混ざってくるので、その場で返事をしなくてかまいません。申し込み期限があるなら、期限だけ確認して持ち帰る。それだけで比べる時間が取れます。
オプションで頼む利点
先に、オプションで頼む場合の利点を書いておきます。ここを飛ばすと判断がゆがみます。
| 利点 | 何が楽になるか |
|---|---|
| 引き渡し前に終わっている | 鍵を受け取った時点で床が仕上がっている。引っ越しまでの日程に施工日を入れなくてよい |
| 窓口が1つ | 建物の担当者とやりとりするだけで済む。別の会社を探して連絡する手間がない |
| 日程を自分で組まなくてよい | 建物の工程に合わせて施工日が組まれる。引き渡しから入居までの短い期間を床に使わずに済む |
引き渡しから入居までの日数が短い人ほど、この利点は大きくなります。段取りの負担を減らしたいなら、オプションで頼むこと自体は合理的な選び方です。そのうえで、契約する前に中身を確認しておきます。
契約する前に確認したいこと
マンションの記事に書いた4点は戸建てでも同じです。ここでは、その先にある6つを書きます。
実際に施工するのは誰か
オプションの申し込み先は建物の販売会社やハウスメーカーでも、床に剤を塗る作業は別の会社が行うことがあります。建築ではよくある形で、それだけで良い悪いは決まりません。確認したいのは、施工する会社の名前が示されるか、その会社に直接聞ける窓口があるかです。名前が分かれば、どんな施工をしている会社かを自分で調べられます。
使う剤の種類と膜の厚み
「フロアコーティング」という言葉は、剤の種類を指していません。膜をつくるタイプだけでも、ガラス、UV硬化型、シリコン、ウレタンなど複数あり、硬化のさせ方や艶の出方が違います。種類ごとの一般的な違いはフロアコーティングの種類と特徴にまとめています。
そして、種類の名前が分かっても、それだけでは足りません。同じ種類でも、膜の厚みで仕上がりと工程が変わるからです。当店の床の施工はガラスコーティングで、厚膜・中膜・薄膜の3つに分かれますが、どれもガラスコーティングです。案内に種類名しか無いなら、厚みまで聞いておきます。厚みごとの違いはコーティングの選び方に出しています。
仕上がりの艶の程度
艶は、カタログの写真や文字だけでは分かりません。強い艶を好む人もいれば、控えめな仕上がりを好む人もいます。艶の程度を選べるのか、1種類だけなのか。選べるなら、実物のサンプルを床に置いて見せてもらえるか。契約したあとで変えにくいところなので、先に聞いておきます。
施工範囲と、部屋を外せるか
「全室」「1階一式」という書き方だと、廊下や階段、洗面所、玄関の上がり口が入っているのか分かりません。部屋ごとに書かれているかを見ます。あわせて、使う頻度の低い部屋を外せるか、外した場合に内訳のどこが変わるかも聞いておきます。生活の負荷が大きい場所から順に決める考え方は新築にフロアコーティングは必要かに書いています。
住んでから相談する窓口
入居後に、艶の変化や汚れの落とし方で聞きたいことが出てくることがあります。そのとき連絡するのは、申し込んだ販売会社なのか、実際に施工した会社なのか。契約の時点で決まっているかを確認しておきます。
内訳に何が含まれているか
内訳で見るのは金額の大小ではなく、単位です。部屋ごとに分かれているか、「一式」の1行か。下地の処理や養生が含まれているか、別の項目か。単位が分かれば、別の業者の見積もりと同じ土俵に並べられます。見積書の読み方はフロアコーティング見積もり比較に6項目で書いているので、ここでは繰り返しません。
この6つは、どれも「書かれているか、答えてもらえるか」を見るものです。オプションが良い、専門の業者が良い、という話ではありません。契約前の確認点の全体はフロアコーティングの後悔4パターンにまとめています。
断って別に頼む場合の段取り
オプションを断って専門の業者に頼む場合、いちばん変わるのは施工の時期です。当店を含め、専門の業者は建物の引き渡しが済み、鍵を受け取ってから施工に入ります。
つまり、引き渡しから入居までの間に施工日を1つ入れることになります。順番の組み方は新築の入居前にやること全リストに、入居前と入居後で工程がどう変わるかは入居前と入居後のフロアコーティングに書いています。
- 申し込み期限までに、今回は見送ることを担当者に伝える
- 引き渡し日と入居予定日を決め、その間の日数を数える
- 図面と床材の仕様書をそろえ、専門の業者に範囲と希望時期を伝えて見積もりを取る
- 鍵を受け取ったら、家具を入れる前に施工日を入れる
断ること自体は、ごく普通の選択です。オプションは任意で追加するものなので、断ったからといって失礼にはあたりません。「今回は見送ります」と伝えれば足ります。
施工しないという選択
もう1つ、施工しないという選択もあります。住む年数が短い、床材にすでに強い加工がされている。こうした条件なら、入れなくても困らないことがあります。その条件はフロアコーティングはいらない?に書いています。勧められたから必要になるわけではなく、勧められたから不要になるわけでもありません。
よくある質問
オプションを断ると、引き渡しに影響しますか?
オプションは任意で追加するものなので、通常は建物本体の引き渡しとは別の話です。気になる場合は、契約書のオプションに関する記載で任意かどうかを確認してください。
オプションと専門業者で、使う剤は同じですか?
同じとは限りません。種類が違うこともあれば、同じガラスコーティングでも膜の厚みが違うこともあります。比べるときは、種類名と厚み、艶の程度をそろえて聞きます。
後から頼むと、家具を動かすことになりますか?
引き渡し後、家具を入れる前に施工すれば、動かす家具はありません。入居して家具が入ったあとに頼む場合は、動かしながら1部屋ずつ進めることになります。
オプションの見積もりは、どこを見ればいいですか?
範囲が部屋ごとに書かれているか、剤の種類と厚みが書かれているか、下地処理と養生が含まれているか。この3つがそろっていれば、別の業者の見積もりと並べられます。
費用はオプションと専門業者でどれくらい違いますか?
一概には言えません。範囲、剤の種類、膜の厚み、下地処理の有無が違えば、金額の差をそのまま比べられないからです。同じ範囲・同じ厚みで並べて初めて差が見えます。当店の部位ごとの内容は単品ごとの価格表に出していますので、内訳の細かさの見本として使えます。
まとめ
新築のオプションでフロアコーティングを勧められたら、その場で決めなくて大丈夫です。誰が施工するか、剤の種類と膜の厚み、艶の程度、範囲と部屋を外せるか、住んでからの相談窓口、内訳の単位。この6つが示されているかどうかで、オプションと専門の業者を同じ土俵に並べられます。断って専門の業者に頼むなら、鍵の受け取り後から入居までに施工日を1つ入れます。施工しないという選択も含めて、どれも普通の選び方です。