廊下の床のツヤと映り込み。右手に階段の手すり

犬や猫と暮らす家の床で困りやすいのは、滑りと爪の傷の2つです。床に使うガラスコーティングは、膜の厚みで滑りにくさを選べ、爪の傷もつきにくくなります。施工が必要かどうかは、床材と、その床をこれから何年使うかで変わります。

ペットがいる家の床で何が起きるか

犬や猫は、足の裏で床をつかんで体を支えます。フローリングのように表面が平らで硬い床は、足の裏が引っかかりにくく、踏ん張りがききにくくなります。

歩いているぶんには問題がなくても、走り出すとき、止まるとき、方向を変えるときに足が滑りやすくなります。滑る回数が多いのは、走る距離が取れる廊下、家具の間で向きを変えるリビング、そして階段です。

もう1つが爪の傷です。爪は歩くだけでも床に当たり、走ったり跳んだり着地したりすると、当たる力がさらに強くなります。爪の傷は線になって残り、いつも通る場所に沿って、同じ向きの細い傷が並びます。

そのほかに、汚れもあります。水飲みのまわりのはね、粗相、抜け毛が主なものです。木のフローリングは、水分が長く残ると、その部分だけ色が変わることがあります。

ペットが通る道は決まっていて、滑りも爪の傷も汚れも、その道に集まります。施工する範囲も、通り道をもとに決められます。

施工しなくていい条件

次のどれかに当てはまるなら、急がなくて大丈夫です。

  • 賃貸で、退去時に原状回復が求められている
  • 床材がタイルやクッションフロアなど、もともと水と傷に強いもの
  • ペットの生活範囲がケージやサークルの中に収まっている
  • 数年以内に住み替えや床の張り替えを予定している
  • すでにマットを敷いていて、滑りにもめくれにも困っていない

マットを敷いて困っていないなら、今のままでかまいません。マットで迷うのは、部屋いっぱいに敷きたくない場合と、敷いても端がめくれてかえって危ない場合です。床材や住む年数から見て施工しなくてもよい場合は、フロアコーティングはいらない?にまとめています。

施工したほうがいい条件

次の条件が重なるほど、優先度は上がります。

  • 木のフローリングで、その床を長く使う予定がある
  • よく走ったり跳んだりする、体重のある犬と暮らしている
  • シニア期に入っていて、足腰にかかる負担を減らしたい
  • 廊下や階段など、通る場所がはっきり決まっている
  • 部屋いっぱいにマットを敷きたくない、または端のめくれが気になる
  • 入居前で、まだ家具が入っていない

木のフローリングは、表面の仕上げが削れると下の層が出てきます。爪のように細いものが同じ場所に繰り返し当たると、削れた跡が線になって残ります。そのため木のフローリングは、コーティングをしたときの違いを感じやすい床です。

滑りにくさは、選ぶ膜で変わります

床に使うのは、ガラスコーティングだけです。ガラスコーティングには、膜の厚みで分かれる厚膜・中膜・薄膜の3つがあり、滑りにくさを求めるなら厚膜か中膜を選びます。

求めるもの選ぶもの
滑り止めGFガラスコーティング厚膜
軽い滑り止めGFガラスコーティング中膜

厚膜と中膜は同じ溶剤で、配合の比率が違います。薄膜は溶剤が違う別の剤ですが、3つともガラスコーティングです。価格表では厚膜が「ガラスコーティングGFM厚膜」、中膜が「ガラスコーティングGFM中膜」と表記されています。

剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴に整理しました。

滑りにくさは、選ぶ膜の厚みのほか、床材の種類、その子の体重と走り方、爪の長さでも変わります。同じ施工をしても、感じ方は家によって違います。

艶を強く出すほど、表面はなめらかに仕上がりやすくなります。艶の見え方と滑りにくさのどちらを優先するかは、契約の前に決めておくと安心です。ほかに確かめておきたい点は、フロアコーティングの後悔4パターンに整理しています。

爪の傷はどこまで変わるか

膜があるぶん、爪が床材に直接当たりにくくなります。生活のなかで少しずつ増えていく細かい擦り傷は膜が受け止めるので、床材に傷がつきにくくなります。

変わらないところもあります。

  • すでに床に入っている傷は、コーティングでは消えません。補修は別の工事になります
  • 爪が引っかかって深くえぐれるような傷は、膜の厚みで受け止められる範囲を超えます
  • コーティングの表面そのものにも、使い続ければ傷は入ります

同じように暮らしていても、床材そのものに届く傷は少なくなります。

2階の廊下の床。奥に向かって光が映り込んでいます

どこまでやるか。全室でなくてかまいません

負荷は通り道に集中するので、予算に上限があるなら、通り道から順に施工していく方法もあります。

優先度場所理由
高い廊下走る距離が取れ、加速と減速がここで起きます
高い階段面積は小さいのに足が集中し、踏み面の縁から傷みます
中くらいリビング方向転換が多く、水飲みの置き場もここに集まります
低い寝室・使っていない部屋ペットが入らない部屋は負荷がかかりません

階段は見落とされやすい場所です。面積が小さいぶん金額は抑えられ、床全体は見送る場合でも、階段だけ先に施工できます。部位別の料金のページで先に金額を見ておくと、どこまで施工するかを決めやすくなります。

どれくらいもつかは、床材、下地処理の有無、日当たりと湿度、その家での暮らし方で変わります。同じ家の中でも、通り道とそうでない部屋とでは、傷み方が違います。

施工したあとの手入れ

コーティングをしても、掃除は必要です。抜け毛も水飲みのまわりのはねも、これまでどおり出ます。ただ、汚れはコーティングの上に乗るので、床材に染み込む前に拭き取りやすくなります。強くこすらなくても汚れが落ちるので、コーティング自体も傷みにくくなります。

洗剤は中性洗剤を、拭き取りにはマイクロファイバークロスのような柔らかい布を使ってください。デッキブラシのような硬いものは、コーティングを剥がしやすいので避けてください。

あわせて、爪の長さも見てあげてください。爪が長いほど床に当たる角度が立ち、線状の傷が入りやすくなります。施工してもしなくても、爪を短く保つと傷が入りにくくなります。

よくある質問

コーティングをすれば、ペットは滑らなくなりますか?

滑らなくなる、とは言えません。ただ、膜の厚みで滑りにくさの度合いを選べます。滑り止めを重視するならGFガラスコーティング厚膜、軽い滑り止めでよければGFガラスコーティング中膜です。

爪の傷は防げますか?

細かい擦り傷は、つきにくくなります。膜があるぶん、爪が床材に直接当たりにくくなります。深くえぐれる傷は膜で受け止められる範囲を超え、すでに入っている傷も消えません。

マットとコーティングは、どちらを選べばいいですか?

両方を使っている家もあります。マットは敷いたところだけに効き、外せば元に戻せます。コーティングは施工した床全体に効きますが、簡単には元に戻せません。

滑りを抑えたいのが部屋の一部で、あとで元に戻せるほうがいいならマット、床全体を滑りにくくしたくて長く住む予定ならコーティングが向いています。

賃貸でも施工できますか?

賃貸で施工できるかは、契約の条件で決まります。退去時の原状回復が契約に入っているなら、床に手を入れてよいかは貸主が決めます。先に貸主へ確認してください。確認が取れないうちは、外せるマットのほうが向いています。

施工の日、ペットはどうしていればいいですか?

施工した部屋には、硬化するまでペットを入れないでください。当日は、別の部屋で過ごしてもらうか、預け先を用意しておいてください。使えない範囲と日数は部屋の数で変わるので、見積もりの段階でご案内します。入居前か入居後かで工程がどう変わるかは、入居前と入居後のフロアコーティングの違いに書いています。

保証はありますか?

フロア専用のGFガラスコーティング厚膜には10年保証があります。ただし、保証年数と持続年数は別物です。日常生活での傷や、他業者による補修のあと、リフォームによる損傷などは保証の対象外で、ほかにも条件があります。

まとめ

ペットがいる家の床で困りやすいのは、滑りと爪の傷です。滑りにくさは、床に使うガラスコーティングのうち、滑り止めなら厚膜、軽い滑り止めなら中膜を選ぶことで変わります。爪の傷は、膜があるぶんつきにくくなります。

木のフローリングを長く使う予定なら、施工したときの違いを感じやすくなります。負荷は廊下・階段・リビングという通り道に集中するので、全室を一度に施工しなくても、通り道から順に進められます。