先に結論を書きます。高齢の家族がいる家でフロアコーティングをする理由は、大きく3つです。膜の選び方で、床の滑りにくさを足せること。汚れが膜の上に乗るので、力を入れなくても拭き取りやすくなり、掃除の負担が軽くなること。そして、ワックスのように定期的な塗り直しを前提にしないので、部屋を空ける段取りを繰り返さずに済むことです。一方で、コーティングをすれば転ばなくなる、とは言えません。変わるのは床の表面の滑りにくさで、段差やつまずき、足元の状態までは変わらないからです。この記事では、床で気になることを整理したうえで、滑りにくさの選び方、掃除、施工する場所と施工の日の過ごし方、施工したあとの手入れの順に書きます。
高齢の家族がいる家の床で、気になること
年齢を重ねると、歩き方や足の運びが変わってくる方もいます。床について気になることは、おおむね次の4つに分かれます。
- 床の滑りやすさ。靴下やスリッパで歩く時間が長く、廊下や階段では足元が気になります
- ぬれた床。飲み物をこぼしたり、水まわりから足がぬれたまま歩いたりした床は、いつもより滑りやすくなります
- 掃除の負担。かがむ、力を入れてこする、何度も水拭きする、といった動きが続けにくくなります
- 段差やつまずき。敷居の段差や、敷物の端に足を引っかける場面です
このうち、フロアコーティングが関わるのは、床の表面に起きる最初の3つです。4つ目の段差やつまずきは、床の表面を加工しても変わりません。ここを最初に分けておくと、コーティングに期待できることと、別の対策が要ることを混ぜずに考えられます。
滑りにくさは、膜の選び方で足せます
床に使うのはガラスコーティングだけです。そのガラスコーティングの中に、膜の厚みで分かれる厚膜・中膜・薄膜があり、どれもガラスコーティングであることは変わりません。滑りにくさで選ぶのは、このうち厚膜と中膜です。
| 求めるもの | 選ぶもの |
|---|---|
| 滑り止め | ガラスコーティング厚膜 |
| 軽い滑り止め | ガラスコーティング中膜 |
つまり、コーティングをすると一律に滑りにくくなるのではなく、膜の厚みによって滑りにくさの度合いを選べます。どちらの度合いが合うかは、歩き方や、その部屋の使い方で変わります。見積もりの段階で、家族の様子を伝えたうえで決めるのが確実です。剤の種類そのものの違いはフロアコーティングの種類と特徴にまとめています。
転ばなくなる、とは言えません
はっきり書いておきます。コーティングをすれば転ばなくなる、とは言えません。選べるのは滑りにくさの度合いで、足を取られなくなる施工ではありません。
- 靴下やスリッパで歩けば、滑ることはあります
- 床がぬれたままなら、足を取られます
- 敷居の段差や敷物の端につまずくことは、コーティングでは変わりません
そのうえで、滑りにくさを足せるのは、床そのものを変えずに足元の条件をひとつ良くできるということです。こぼしたらすぐ拭く、足元に物を置かない、通り道の敷物を固定する、といった暮らしの工夫とあわせて考えてください。膜の選び方は、ペットがいる家のフロアコーティングでも同じ考え方で書いています。
掃除の負担が軽くなります
床にコーティングの膜があると、ほこりも、飲みこぼしも、食べこぼしも、床材ではなく膜の上に乗ります。床材に直接染み込まないので、乾いたフロアワイパーや固く絞った布で軽く拭くだけで取りやすくなります。強くこすったり、何度も水拭きしたりしなくて済むので、かがむ回数と力を入れる場面が減ります。
ただし、汚れが付かなくなるわけではありません。掃除そのものは続けます。変わるのは、1回の掃除にかかる手間と力です。毎日の拭き掃除が短く済めば、続けやすくなり、床の状態も保ちやすくなります。ほこりと床掃除の順番は床のハウスダスト対策とフロアコーティングに詳しく書いています。
ワックスの塗り直しが要りません
ワックスは、定期的な塗り直しが前提です。そのたびに家具を動かし、乾くまで部屋を空けることになります。高齢の家族がいると、この段取りを繰り返すだけで負担になります。
コーティングは、塗り直しを前提にしていません。家具を動かして部屋を空ける機会が減るのは、暮らす側にとっての変化です。ワックスとの違いはフロアコーティングとワックスの違いにまとめています。
どこから施工するか。通り道と長く過ごす部屋から決めます
全室でなくてかまいません。高齢の家族がよく歩く通り道と、長く過ごす部屋から決めると、無駄がありません。
| 優先度 | 場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 高い | 廊下 | 寝室やリビングへ向かう通り道で、毎日何度も歩く場所です |
| 高い | 階段 | 面積は小さいのに足が集中し、足元の滑りが気になる場所です |
| 高い | 寝室・長く過ごす部屋 | 起き上がって最初に踏む床で、過ごす時間も長くなります |
| 中くらい | リビング・ダイニング | 家族が集まり、飲みこぼしや食べこぼしが起きやすい場所です |
| 低い | あまり使わない部屋 | 歩く回数が少ない部屋は、あとからでも間に合います |
階段は見落とされやすい場所です。面積が小さいぶん金額は抑えられますし、床全体を見送るとしても、階段だけ先に施工するという組み方はできます。部位ごとの金額は単品ごとの価格表で先に確認できます。
持ちの年数は、床材、日当たりと湿度、歩く回数で変わります。毎日何度も歩く廊下と、あまり使わない部屋とでは、同じ家でも状態の変わり方が違います。
浴室の床は、居室とは別の剤です
高齢の家族がいる家では、浴室の床の滑りも気になるところです。浴室の床はフローリングとは別の剤で、セラミックコーティングを使います。ぬれた床が滑りにくくなる施工ですが、ここでも絶対に滑らなくなる、とは言えません。浴室の床で変わることは浴室の床のコーティングは必要かにまとめています。
施工の日の過ごし方
施工した床は、完全に硬化するまで歩けません。硬化の目安は24時間です。その間、施工した部屋には入れないので、高齢の家族が過ごす部屋やトイレまでの通り道が施工する部屋と重なるかを、先に確認しておくと当日が楽です。
住みながらでも、部屋やフロアを区切って施工できます。施工した部屋が硬化するまでは、別の部屋で過ごしてもらう形になります。その日は日中を過ごす部屋を別に決めておく、親族の家で過ごす、といった段取りを先に決めておくと安心です。使えない範囲と日数は部屋の数で変わるので、見積もりの段階でお伝えします。
入居前なら、家具も生活もないので、硬化を待つ時間が生活と重なりません。親との同居や住み替えの予定があるなら、引き渡しから入居までの間が狙い目です。入居前と入居後の違いは入居前と入居後のフロアコーティングの違いにあります。
施工したあとの手入れ
コーティングをしても、掃除は必要です。ほこりも汚れも、これまでどおり床に落ちます。変わるのは、汚れがコーティングの上に着くので取りやすく、力を入れてゴシゴシこする必要がないことです。強くこすらずに済むぶん、コーティング自体も劣化しにくくなります。
- 洗剤を使うときは、中性洗剤を薄めて使う
- 拭き取りには、マイクロファイバークロスのような柔らかい布を使う
- デッキブラシのような硬いものでこすらない。コーティングを剥がしやすくなるため推奨しません
- 飲み物などをこぼしたら、早めに拭き取る。膜の上なら落としやすいですが、ぬれたままの床は滑りやすくなります
ふだんは乾いたフロアワイパーで軽く拭き、汚れが出てきたときに中性洗剤と柔らかい布を使う、という使い分けで続けてください。
よくある質問
フロアコーティングをすれば、高齢の親は転ばなくなりますか?
転ばなくなる、とは言えません。コーティングで変わるのは床の表面の滑りにくさで、選べるのは度合いです。滑り止めを重視するならガラスコーティング厚膜、軽い滑り止めでよければガラスコーティング中膜という選び方になります。段差やつまずき、足元の状態は変わらないので、暮らしの工夫とあわせて考えてください。
厚膜と中膜は、高齢者がいる家ではどちらがいいですか?
滑りにくさを重視するなら厚膜、軽い滑り止めで足りるなら中膜です。どちらが合うかは、歩き方や、廊下・寝室・リビングといった部屋の使い方で変わります。見積もりの段階で、家族の様子を伝えて決めてください。
コーティングした床なら、滑り止めのマットや敷物は要りませんか?
敷物を置くかどうかは、コーティングとは別に決めます。床の表面を滑りにくくすることと、敷物の端につまずかないようにすることは別の話です。敷物を置くときは、端がめくれないように固定してください。
手すりや段差の解消の代わりになりますか?
代わりにはなりません。コーティングは床の表面の施工なので、手すりの取り付けや段差をなくす工事とは役割が別です。足元の滑りにくさを足す施工として、あわせて考えてください。
住みながらでも、高齢の家族がいる家に施工できますか?
できます。部屋やフロアを区切って施工し、施工した部屋が硬化するまでは別の部屋で過ごしてもらいます。完全に硬化するまでの目安は24時間です。トイレや寝室までの通り道が施工する部屋と重なるかを、先に確認しておくと当日が楽です。
まとめ
高齢の家族がいる家でフロアコーティングをする理由は、膜の選び方で床の滑りにくさを足せること、汚れが膜の上に乗って拭き取りやすくなり掃除の負担が軽くなること、ワックスの塗り直しが要らないことの3つです。滑りにくさは、滑り止めなら厚膜、軽い滑り止めなら中膜という選び方になります。ただし、コーティングをすれば転ばなくなる、とは言えません。段差やつまずき、こぼした水の拭き残しは、暮らしの工夫で補います。施工する場所は、廊下・階段・寝室のように毎日歩く通り道と長く過ごす部屋から決めると無駄がありません。施工の日は、完全に硬化する24時間を目安に、過ごす部屋を先に決めておくと安心です。